飛島建設は、四足歩行ロボットが自律移動で工事現場を巡回・点検するシステムを開発した。ロボットは写真や映像、3D点群データの取得、双方向の音声通信が可能。担当者は遠隔制御で高頻度な場内巡回が可能になり、施工管理の効率化と高度化に役立つと期待する。10月に同社が施工する高速道路トンネルの補修・補強工事で検証。想定通りに動けると確認した。
新システムは、稼働時間などから市販の電動四足歩行ロボット「Unitree Go2」(中国ユニツリー・ロボティクス製)をベースに開発した。標準機能の無線操作などに加え、深度カメラや3D-LiDAR(ライダー)、マイクスピーカー、通信・制御用PCを搭載した。
ロボットはマップや点群データを基に自身の位置を推定。設定した目的地に自律移動する。障害物がある場合は迂回(うかい)し、指定した位置、区間のデータを取得する。ウェブで操作が可能。カメラの映像やバッテリー残量、モーター温度もリアルタイムに確認できる。
検証ではロボットが自律歩行で取得した点群データと、3Dスキャナーで手動測定した点群データを比較した。坑口から約20メートル地点のトンネル幅で、20ミリほどの差に収まった。
今後は自動巡回点検の実用化を目指し、自社開発のドローンによる遠隔点検システムとの組み合わせ、安全機能などを研究する。技術研究所研究開発グループ生産システム研究室の松田浩朗室長は「ドローンとの協調を見据えた全体最適を追求していく。現場の負担にならない、真に役に立つシステムを開発したい」としている。








