国土交通省は、公共建築工事に関する国の統一基準となる積算基準類を改定した。「公共建築工事標準単価積算基準」には、労務費や材料費の内訳を把握可能にするため導入した新しい方式の積算単価「単位施工単価」を追加。「公共建築工事内訳書標準書式」と「公共建築工事見積標準書式」は、改正建設業法・公共工事入札契約適正化法(入契法)を踏まえ、労務費と材料費を内訳明示する書式に見直した。=1面参照
内訳書標準書式の見直しは、改正法の全面施行に伴って公共工事で導入される「労務費ダンピング調査」への対応を念頭に置いた措置となる。改正法では入札参加者に労務費を明示した入札金額内訳書の提出が義務化し、公共発注者には書類内容の確認を求める。
労務費ダンピング調査の導入当初は、直接工事費の多寡を確認する簡易な運用となる。労務費の多寡を確認する仕組みには現時点でなっていないが、予定価格に含まれる労務費の内訳が分かる書式をあらかじめ用意し、落札候補者の入札金額内訳書に含まれる労務費との比較が可能な体制を整える。
改定内容は2026年1月以降に入札手続きを開始する直轄営繕工事に適用する。契約済みの工事を対象とし、単位施工単価に基づきスライド条項を適用する際の取り扱いも関係機関に通知した。残工事に鉄筋、型枠の両工種が含まれていれば、スライド額を算定し契約変更を行う。
改定内容を反映する形で「『営繕積算方式』活用マニュアル」を見直し、総務省との連名で都道府県・政令市に10日付で参考送付した。市区町村を含む地方自治体に、改定内容の適切な運用を働き掛ける。
マニュアルでは見積単価の適切な設定方法に関する記載を充実し、見積もり内容に不透明な乗率を設定する「単価歩切り」の運用を控えるよう徹底することも追記した。








