改正建設業法・公共工事入札契約適正化法(入契法)が12日、全面施行する。改正法の目玉となる著しく低い労務費の見積もり・契約を禁止する措置が発効となり、同日以降に見積書を交付する場面から「労務費に関する基準(標準労務費)」をベースとした価格交渉が求められることになる。国土交通省は施行内容を伝える通知文書を建設業団体や都道府県・政令市、民間発注者団体に10日付で発出。建設工事の契約当事者となる専門工事会社や総合工事業者、官民の発注者に、それぞれの立場に沿った対応を要請した。
改正法では標準労務費をベースとした額を著しく下回る労務費の見積もりや見積もり変更依頼を禁止する。違反した建設業者は指導・監督、発注者は国交省による勧告・公表の対象となる。受注者による「不当に低い請負代金」と「著しく短い工期」も新たに禁止し、労務費や工期のダンピング規制を強化する。
国交省の通知文書では元下双方の建設業者に、技能者の賃金を原資としたダンピングを撲滅し、処遇確保を前提とした価格と、生産性の高さによる健全な競争環境を実現する必要性を訴える。
新たな規制措置を踏まえ、労務費や必要経費を内訳明示した見積書の作成や尊重に努めるよう要請する。公共工事設計労務単価を下回る水準の労務単価や、不当に効率の良い歩掛かりで労務費を見積もる行為などが違反になり得ると注意喚起する。
標準労務費の具体的な数値は、各専門工事業団体などとの最終的な調整を経て13職種・分野の計99工種・作業を初弾として決定した。具体値には「建設労働者の雇用に伴い必要な経費」として41%分を加算した数値を参考として併記した。新たに開設した標準労務費のポータルサイト(https://roumuhi.mlit.go.jp/)で具体値を都道府県別に公表している。
ポータルサイトには改正法に対応する建設業者などに向けたガイドラインやツールも整理した。契約段階の価格交渉の進め方や留意点をまとめた標準労務費の「運用方針」や、公共工事での実効性確保策となる「労務費ダンピング調査」の公共発注者向けガイドラインを正式に決定。労務費や必要経費を内訳明示した見積書の「様式例」と「書き方ガイド」も入手可能となっている。








