前田建設は、風力発電設備の廃棄ブレードを再利用して電力を生み出すプロジェクトを開始した。あらゆる自然物を媒体に、集電材(電極)を介して微小な電気を収集する「超小集電技術」を活用。茨城県取手市にあるICI総合センターで実証試験を行い、発電した電力を使って照明を点灯させ、歩道や植栽周りの夜間照明としても活用できる3ルクス程度の明るさを確認した。
発電プロジェクトは、オフグリッド・デザインコンソーシアム(OGD、中川聰代表理事)と、同コンソーシアムを主催するトライポッド・デザイン(東京都千代田区、中川聰代表取締役)と共同で展開する。
超小集電技術は、土壌や植物、産業廃棄物などあらゆる対象を媒体に、コンダクターと呼ばれる集電材を通して微小な電気を収集する仕組み。2021年9月に特許を取得している。
技術実証では、廃棄ブレードを集電材とした超小集電技術の「超小集電セル(電池)」を採用。ICI総合センターに設置した照明で明るさを確かめた。使用した超小集電セルは、破砕した廃棄ブレードを追加することで集電性能が向上することも確認。廃棄ブレードがより有効な集電材料として活用できると分かった。
前田建設は、風力発電所や周辺地域での社会実装を見据え、同センターで技術検証を継続する。同社によると、風力発電設備のブレードは一般的に10~15年ごとの交換が推奨されている。ブレードは、ガラス繊維や炭素繊維を熱硬化性樹脂などで接着した複合構造。素材ごとの分離が難しく再利用も困難なため、埋め立てや焼却が主流だ。国内で風力発電事業が活発になる中、廃棄が増加すれば二酸化炭素(CO2)排出量や処理コストも増大する。再利用は大きな課題となっている。
同社は超小集電技術を活用したセンサーによる自動点灯装置を備えた「アートベンチ」を制作。17日から東京都千代田区の「大手町3×3Lab Future」に展示する。








