関東地方整備局が、直轄土木工事で受注企業に支払われている賃金や労働時間の実態調査に着手する。契約後、受注者に調査協力を依頼。調査票を配布し、賃金の支払い状況や労働時間などを記載してもらう。これまで元請に限っていた報告を下請にも求め、賃金の行き渡りをつかむ。調査結果は標準積算や労務単価の改定などに役立てる。9日以降、入札手続きを行う工事で試行した。
公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)や発注関係事務に関連する運用指針では、下請の賃金や労働時間の実態把握に努めるよう規定している。ダンピングを抑制し、公正な競争環境の実現と担い手確保につなげるのが狙い。11月4日に国土交通省が全国の地方整備局などに実態調査の試行を通知した。
実態調査を行う旨は発注時に公表する特記仕様書に記載し、施工者に事前周知しておく。調査の約束を取り付けた受注者に賃金や労働時間の実態把握が可能な工種を報告してもらう。発注者は報告後、対象工種を選定する。
受注者には現場で作業している人数に加え、賃金の支払い状況や労働時間などを聴取する。標準労務単価をベースに積算した「支払うべき賃金」との差から適正賃金かどうかを見極める。調査のタイミングは竣工した工種ごとに行う方針だ。これまでは元請に賃金の支払いや労働時間の実態を報告してもらっていたが、下請からも調査票の提出を求める。
調査結果は受注者の承諾を得て公表する考え。先行して受注者希望型の発注工事で着手し、将来的には発注者指定型の工事に移行する。








