内閣官房は、第1次国土強靱化実施中期計画を着実に実行するため、道路関連インフラの保全を含めた安定財源確保策の検討状況をまとめる。16日の有識者会議に示した「国土強靱化年次計画2026」の策定方針素案に盛り込んだ。年次計画は、26年夏ごろに政府が決定する予定で、財源を巡る検討の行方が注目される。同日、東京都内で国土強靱化推進会議(小林潔司議長)の第17回会合を開いた=写真。策定方針素案や、民間の国土強靱化の取り組みについて議論した。
策定方針素案には、巨大地震の被害想定地域の対応をフォローアップしたり、重要業績評価指標(KPI)による各施策の進捗管理を進めたりする考えを明記してある。国土強靱化に関する広域・分野・関係府省庁の連携と、民間事業者・地域住民との連携などによって、取り組みの実効性を強化することにもしている。
内閣官房によると、企業のBCP(事業継続計画)策定率は23年度時点で、大企業76・4%、中堅企業45・5%だった。21年度からどちらも5%程度上昇した。ただ、大規模災害が発生する懸念が高まっていることで、内閣官房は、災害発生後に経済活動が滞らないよう企業が適切なリスク認識を持ち、災害リスクを回避・コントロールするの必要があると指摘した。
民間資金を活用した防災インフラ投資の手法として▽企業版ふるさと納税▽クラウドファンディング▽既存ストック活用▽PFS(成果連動型委託)/SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)▽PPP/PFI▽官民共同出資-の六つを紹介した。
PPP/PFIは防災インフラ投資に対する事業収入の活用が一部にとどまっている。PFS/SIBは事業成果の可視化や、成果に対する関係者間の合意形成などに課題があり、国内に事例はない。民間資金を防災インフラに投じるには、平常時から非常時を想定するフェーズフリーの視点からの対策が必要とした。
委員からは「災害のリスク情報を民間企業に発信・浸透していくのが大事」「建物の耐震化を進めるためには、能登半島地震の復興で使われた建設関係の総額を整理するべきだ」などの意見があった。








