森記念財団都市戦略研究所(竹中平蔵所長)は17日、「世界の都市総合ランキング2025」の結果を発表した。対象は世界の主要48都市。首位のロンドンに続き、東京がニューヨークを抜いて初めて2位になった。経済関係の指標で順位を下げたものの、文化・交流分野や居住分野を中心にスコアを伸ばした。大阪は前回の35位から18位にランクアップ。福岡も42位から40位に上昇した。
同日都内で開いた説明会で、竹中所長は「各国のコロナ後の動向や政策を含む環境の変化が、都市ランキングにも見事に現れている」と今年の傾向を説明した。市川宏雄理事は東京のランクアップに対し「去年2位だったニューヨークがランクダウンしたため、相対的に東京のスコアが上がった」と見解を述べた。
同ランキングは都市の総合力を▽経済▽研究・開発▽文化・交流▽居住▽環境▽交通・アクセス-の6分野で評価する。各分野はそれぞれ細かな指標に分かれ、合計72の指標にスコアを付与。スコアの合計値で都市をランク付けする。
上位5都市は▽ロンドン▽東京▽ニューヨーク▽パリ▽シンガポール-の順だった。東京の指標を詳しく見ると、経済分野では「国内総生産(GDP)成長率」はスコアが上がったが、「世界トップ500企業」や「GDP」「ワークプレイス充実度」などのスコアが下がり、ビジネス環境の弱みが顕在化している。
文化・交流分野は▽観光地の充実度▽ナイトライフ充実度▽外国人訪問者数-の3指標でスコアを上げ、トップクラスの評価を獲得。東京の強みとして確立した。
大阪の躍進に関し市川理事は、外国人の訪問者数が東京よりも多いことを指摘。「万博を実施したことで人やお金が集まり、勢いがついた。来年もいいはずだ」と期待した。
説明会では都内の住宅価格の見通しや、都市整備に関する質問が上がった。市川氏は日本の不動産価格が海外よりも安いことを指摘し、「都心5区の住宅価格は世界標準に追いつくまで上がるだろう」と解説。建築資材高騰や人手不足が都市整備へ与える影響について、「再開発の選別がはじまった。需要がある場所は工事が進むが、ない場所は停滞する」と解説した。
竹中氏は国家戦略特区を例に上げ、「総合的な規制緩和が都心の魅力を特に増している」と見解を述べた。








