金子国交相らが下水道現場視察/東京都の管路複線化事業/機能停止リスク低減

2025年12月23日 行政・団体 [4面]

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 金子恭之国土交通相と佐々木紀国交副大臣が20日、芝浦水再生センター(東京都港区)に隣接する下水道管の工事現場を視察した。管路をシールド工法で構築。既存管路と合わせたルートの複線化で、万が一の事態が起こっても下水の流下機能が停止するリスクを減らす。金子国交相らは深さ64メートルの到達立て坑を下り、事業主である都の職員から施設の説明を受けた。視察後、金子国交相は「全国の下水道事業者の方もこの事業を参考にしていただきたい」と述べた。
 都は新たな下水道管「千代田幹線」の建設に取り組んでいる。完成後は既存の複数の管路を流れる下水を同幹線に集める。水量を減らした既設管路は、帯状の塩化ビニールを内側に巻き付ける「SPR工法」などで老朽化に対応する。
 千代田幹線は飯田橋駅付近(千代田区飯田橋)から芝浦水再生センターを結ぶ延長約8・7キロの地下トンネル。1工区当たりの距離として見た場合、国内の下水道シールドで最長の工事区間だという。
 内径は4・9メートルで、12路線の地下鉄を避けながら掘り進めた。自然流下させるため、1メートル当たり0・5ミリの勾配を付けた。施工は奥村組・大豊建設JV。トンネルは貫通済みで、今後は取水人孔(マンホール)を6カ所整備する。
 1月に発生した埼玉県八潮市の道路陥没事故では約120万人が3週間にわたって下水道の使用を制限された。事故を受けて国交省が設置した有識者委員会は1日に新たな提言を公表。下水道管路のリダンダンシー(冗長性)確保や点検・調査の徹底、下水道管理者と道路管理者の連携の重要性などを示した。
 視察後、金子国交相は「トイレが使えないというのは普段の生活で考えない。使えない時の影響は大きく準備が非常に重要だ。全国の下水道事業者もぜひ調査をしていただきたい」と訴えた。
 財源に関しては「第1次国土強靱化実施中期計画には下水道事業の老朽化対策も入っている。ここでの予算を活用しながら進めていかなければいけない」と語った。