近畿整備局/26年度総合評価運用方針/技術提案評価型、テーマ数は概算金額で線引き

2025年12月24日 行政・団体 [14面]

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 ◇段階選抜は40億円以上のトンネル限定に
 近畿地方整備局は総合評価方式の2026年度運用方針を固めた。技術提案評価型(WTO)で求める提案のテーマ数について、概算金額40億円以上の工事を2テーマ、40億円未満は1テーマとし、工事規模で線引きする運用に変更。段階的選抜方式は40億円以上のトンネル工事に限定し、審査方法や配点見直しに加え、選抜者数を従来の8者から10者に増やす。近畿整備局は2テーマを求める工事の絞り込みなどで「提案コスト増の抑制や手続き期間の短縮につなげたい」としている。このほか、総合評価(標準タイプ)の評価項目・配点見直しなども行う予定で、22日に開かれた総合評価委員会で了承された。
 技術提案評価型で2テーマを求める方式(S1)は、トンネルまたは「施工上の工夫の予知が大きいもの」を対象としていたが、曖昧な部分があった。26年度からは「発注規模が比較的大きい工事」とし、当面は概算金額40億円を目安に判断する。物価上昇なども踏まえ適宜見直す。
 段階的選抜は一般土木(WTO)で10者以上の入札参加が見込まれる工事に適用してきた。ただ、提案数が2テーマのため、提案コストの増大や手続き期間の長期化など業界団体などから改善を求める声もあった。見直しでは概算金額40億円以上のトンネル工事に限定し、その他工事には基本的に適用しないことを決定。ただし、入札参加者が極めて多くなることが見込まれる場合は適用可とする。
 審査方法も変更。従来は1次審査で上位6者に追加選抜者(2者)を加えた8者を選抜していたが、追加選抜を廃止。上位10者を選抜する運用に見直す。1次審査は技術提案(20点)だけで、これまで評価していた▽WLB(ワーク・ライフ・バランス)関連認定制度▽労務費見積もり尊重宣言▽カーボンニュートラルに関する取り組み実績-の3項目は2次審査で行う。手続き期間は最大140日を要するが「適用案件を絞ることで件数自体が減り、手続きの負担軽減につながる」(近畿整備局)とみている。
 総合評価(標準タイプ)の基準見直しでは、評価項目の分類を再整理するとともに、直接品質につながらない政策誘導に特化した評価項目(インターンシップ受け入れ、現場見学会の開催)は除外する。これらの取り組みは工事成績評定で評価する仕組みを継続していく。
 本省ガイドラインの必須項目に設定されている同種実績、成績、表彰の割合・配点も変更する。現在は企業の施工能力(25点)に占める必須項目の配点割合は44%(11点)だが、これを他の整備局並みの60%(15点)に引き上げる。同時に技術者の能力に占める必須項目の配点割合も見直す。同種実績、成績、表彰の各配点は本省ガイドラインに示された割合(2対2対1)と整合を図る。
 また、本官工事を対象に企業の施工能力のうち「地域内工事の実績」で評価する対象地域を拡大する。これまで分任官工事と同様に「当該工事実施市町村または府県内での工事実績」で評価していたが、本官工事に参加する企業の営業規模の違いを考慮し「当該工事実施府県内または近畿整備局管内」に変更。配点は3点から2点に減らし、府県の場合は2点、近畿整備局管内は1点を加点する。対象工事が限定的なことから、今後発注する工事に順次適用していく。