国交省/夏季休工実現へ試行着手/猛暑対策で支援策、経費充実や技術実装促進も

2025年12月24日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は、夏場の猛暑対策に取り組む建設業者を支援する「建設工事における猛暑対策サポートパッケージ」を策定した。施工時期・時間の柔軟な設定や人力作業回避につながる技術実装の促進、熱中症対策の費用充実など、施工者の工夫を引き出す仕掛けづくりに取り組む。2026年夏に備え、まずは直轄土木工事の工事発注で各施策を実行。猛暑期間を休工可能とする工期設定や必要な費用・取り組みを検証する試行工事などに乗り出す。
 建設業団体との意見交換を踏まえ、各施策をまとめた=表参照。猛暑の期間・時間の現場作業を避ける対策が中心になる。発注者が主体となり夏場の現場作業を避けた工期設定に取り組みつつ、受注者の判断で夏場を休工可能にする仕組みづくりに向け試行工事を行う。
 試行は25年度補正予算に基づき発注する比較的工期が長い工事を対象とする予定。通常より工期を長めに設定し、一定期間の休工が可能な余裕期間を設ける。効果の検証や、必要となる費用や取り組みの調査を目的とし、この結果を当初発注時の追加費用の明示や積算の仕方の検討に生かす。
 当初工期など契約条件の枠内で猛暑期間の現場施工を回避する取り組みは、発注時の特記仕様書に受発注者間の協議で可能だと明記することを全国の出先事務所に展開する。先んじて試行する関東地方整備局宇都宮国道事務所などの様式を参考にしてもらう。
 年間で労働時間を柔軟に設定できる「変形労働時間制」の運用上の課題解決にも乗り出す。現行制度は1カ月前にシフトを組むなどの制約がネックとなり、建設業界の猛暑対策として活用が難しいとの指摘がある。そこで制度運用に積極的な建設会社や厚生労働省とも連携し、課題の洗い出しや改善に取り組む。
 効率的な施工や作業環境の改善に向け、直轄土木工事の総合評価方式の「技術提案評価型S型」で猛暑期間・時間の作業回避や人力作業の削減につながる施工方法や施工計画の提案を求める仕組みもつくる。定置式水平ジブクレーンや作業員のバイタルチェック機器などの有用な技術・製品の実装を促す。
 猛暑対策に追加的に必要な費用計上は、年度末の積算基準改定を見据え現場の実態調査を進めている。諸経費動向調査を踏まえ熱中症対策に充てる現場環境改善費の計上費目を見直しする予定。夏場の施工性や休憩時間を確認し、歩掛かりの改定も視野に入れる。