経産省、国交省/洋上風力事業者撤退要因を分析/事業環境の変化、安価な価格提案誘引

2025年12月25日 行政・団体 [3面]

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 経済産業省と国土交通省は、国が公募した洋上風力発電事業の第1ラウンドから三菱商事などの企業連合が撤退した要因などの分析を公表した。撤退の最大要因は公募選定後に事業環境が変化し、「採算性確保が著しく困難と判断せざるを得ない状況に至った」ことと分析。低価格入札を回避する方策が講じられず、公募参加時に安価な供給価格の提案を誘引した可能性があるとも指摘した。
 両省は三菱商事へのヒアリング結果などを踏まえ、▽公募当時の評価基準と事業計画▽公募選定後の事業環境の変化など-の二つの観点で事業撤退の要因を分析した。
 公募時、事業実現性評価点の1位と2位の点差よりも、価格点の点差が大きかった。このため事業者選定で価格点が大きく作用し、三菱商事などの企業連合が三つの海域で選定された。採点方式が価格点に大きな点差が生じる評価基準により、顕著に安価な供給価格を提案。事業計画の実現性やリスクへの対応で精緻な評価が不十分だった可能性があるとした。
 事業環境の変化による建設費用の増加も指摘。インフレ、為替、金利上昇といった環境変化やサプライチェーン(供給網)の逼迫(ひっぱく)、選定後の海底地盤調査などによる設計や施工方法の見直しなどの複合的要因により、公募参加時に見込んでいた金額と比べ、建設費用が2倍以上に増加した。
 両省合同会議ではFIP(売電価格補助額上乗せ)制度への移行や価格調達スキームの導入などの政策を検討、決定してきた。
 これら施策を前提にしても、コスト増加を賄うだけの収入を確保できる見込みが立たなかったことも要因に挙げた。