関東整備局/出先事務所で猛暑対策注力/夏季休工など施工時間を柔軟運用

2025年12月26日 行政・団体 [5面]

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 関東地方整備局の出先事務所が、猛暑を避けながら現場作業に従事できる環境整備に力を入れている。全国に先駆け、宇都宮国道が猛暑期間に休工する取り組みを試行。長野国道は工事の開始時間を早朝にずらした分、昼間の作業時間を短縮させている。作業時間を柔軟に運用するなど熱中症対策を強力に推し進める動きは、地域に精通した事務所単位で広がりつつある。
 猛暑対策では、宇都宮国道が受発注者協議を経て夏季に休工したり、施工時間帯を柔軟に変更したりする取り組みを2023年度に始めた。25年度は14件を試行している。受注者が理解しやすいよう、試行工事の運用ルールを盛り込んだ特記仕様書を一部修正。12月以降発注を公告する工事に適用している。同事務所は原則として全工事を対象に夏季の現場休工などを行う方針で、笹木和彦所長は「来年度以降も試行する」と意欲を燃やしている。
 長野国道では道路の維持・改良工事を対象に、作業時間を早朝にシフトする取り組みを1件行った。受注者の希望で早朝出勤が可能な作業員だけが参加。午前5時~午後2時に稼働時間をずらしたことで、熱中症予防など一定の効果が出ている。小田川豊所長によると「今年は熱中症の報告がゼロだった」という。従前よりも休憩時間が少なくて済むなど「作業時間も増えた」と手応えを語っている。
 受注者の意見を積極的に取り入れ、創意工夫を図っている例は他にもある。霞ケ浦河川は昨年度よりも熱中症対策を強化した。受注者の発案で、バックホウなどの近くに仮設テントを設置。炎天下で作業するオペレーターに利用してもらっている。
 建設業従事者は常に熱中症リスクと隣り合わせで作業している。作業環境の改善は受注者だけでなく、発注者の工夫によって実現できると言え、国土交通省では受注企業の猛暑対策をサポートするパッケージを来夏に始める。これに呼応し、関東整備局でも猛暑対策のさらなる強化に努める方針だ。