埼玉県八潮市での道路陥没事故を受け、埋設管の点検需要が急増している。こうした状況を背景に、千葉市は「ドローン実証実験ワンストップセンター」の適用範囲に、水中・水上ドローンを追加した。管路点検では、省力化や安全性向上の観点から、狭小空間を飛行可能な機体や、水上・水中を航行できる機体が注目を集めている。市はドローン活用の先進地として水中・水上機を積極的に利用。民間企業による市内での社会実装を後押しする。
2018年に国家戦略特区制度を活用して設立されたワンストップセンターは、民間企業などから年間50件程度の相談を受けている。24年度は実証実験34件で、テストフィールドの確保を支援した。市内4カ所にある常設フィールド以外に、企業の求めに応じて公共施設を臨時フィールドとして貸し出すなど、柔軟に対応。当初の目的であったドローンメーカー向けの飛行実験場所の提供にとどまらず、搭載技術の検証や事業化に向けた実証など、幅広い需要に応えている。
25年度は八潮市の事故を受け、下水道管の関連ニーズが急増した。ワンストップセンターには、水中ドローンや水上ドローンに関する問い合わせが相次いでいる。これまでも個別に管路点検向けのフィールド提供を支援した実績はあった。需要を踏まえ、正式に支援対象に水中・水上ドローンを加えることにした。
今後は千葉県とも連携し、県が所管する千葉港内などに常設の実証フィールドを設ける考え。市は水中ドローン協会に加盟し、国土交通省主催の「海における次世代モビリティに関する産学官協議会」にも参加するなど、水中・水上ドローンを施策の柱に据えた取り組みを強めている。東京から近いという利点も生かしながら実績を重ねることで、市は水中・水上の両分野で首都圏を代表する「ドローン先進地」としての存在感を高める。








