国交省建設業政策勉強会/建設業の働き方どう変える/担い手3法の次の検討課題に

2025年12月26日 行政・団体 [1面]

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 建設業政策の次なる展開を模索する国土交通省の有識者会議で、現行の労働法制への対応や、日給月給制に代表される建設業の働き方の課題が議論になっている。建設業が労働市場で評価され、多様な人材を呼び込むためには、現状の問題点に目をつぶるわけにはいかない。国交省は、重層下請構造などの業界構造上の課題とともに「第3次担い手3法では必ずしも十分に対応しきれていない検討課題」(楠田幹人不動産・建設経済局長)と認識し、重点的に対応する考えを示している。
 25日に東京・霞が関の国交省内で開いた「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」の第5回会合で問題提起した。非公開で行われた議論の前に楠田局長は、時間外労働の上限規制など働き方の諸制度や、日給月給などの給与制度、一人親方のフリーランス的な働き方などを例に挙げて議論を呼び掛けた。他産業で当たり前とされる働き方とは異なる文化が温存されている建設業の現状を、改めて見つめ直す狙いがある。
 楠田局長は「実際の若者の声も踏まえ、建設業ならではの面白さなどをPRし、業界のイメージアップを図る取り組みの方向性を議論したい」とも話した。高校生や大学生、保護者などに国交省が行ったアンケートやヒアリングの結果を紹介した上で、有識者から意見を聴取した。
 前回の会合に続き、建設業の人的資源の在り方をテーマに議論を深めた格好だ。人材の確保にとどまらず、教育や配置、就労環境整備を含めた人的資源のマネジメントの最適化を目指す意図がある。前回は重層下請構造や仕事量の繁閑差、中小零細企業の多さなどが問題の根っこにあるとの指摘があった。
 こうした業界構造や働き方の課題は以前から指摘されてきたが、第3次担い手3法でも主要なテーマになることなく、実際のところ棚上げされてきたと言える。楠田局長は「今回の議論を受け、残された課題への対応の方向性について、今後さらに検討を深めたい」と話し、継続的な議論と改善策の検討に意欲を示した。