防災学術連携体/10周年記念シンポ開く/防災庁設置後も社会的な役割を

2026年1月13日 行事 [2面]

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 防災学術連携体(代表幹事・渦岡良介地盤工学会会長)は9日、10周年記念シンポジウム「63学協会連携の軌跡と防災研究のあり方」をウェブで開いた。防災関係の63学協会のネットワークとして、日本学術会議と連携した活動の成果を振り返り、防災研究に期待される役割などについて議論した。田村和夫事務局長による記念報告に続いて、日本地震学会、土木学会、日本建築学会などが研究の変遷や最新の知見を発表した。
 冒頭、渦岡代表幹事は、「10年の節目。防災研究はどうあるべきか、期待される役割は何か議論を深めたい」とあいさつした。日本学術会議の大西隆会長と竹内徹防災減災学術連携委員会委員長は、防災を巡る各専門分野の一層の連携と、活発な活動を要請。大西会長は「防災学に携わる皆さんが学術組織の発展をリードしてほしい」と求めた。
 来賓としてあいさつした内閣府の長橋和久防災監は政府が年内の設置を目指している防災庁について、「あらゆる事態を想定、先読みし、リスクへの対策を戦略的に立案する。学術界との連携が不可欠」と話した。記念報告として同連携体の10年の軌跡を話した田村氏は、「今後も学会間の横断的な連携を推し進め、防災・減災へ貢献する」と語った。
 日本地震学会の福島洋東北大学災害科学国際研究所准教授は「変容する人間社会における地震研究」と題し、東日本大震災以降の地震学の変化・進展について説明した。「地震学は科学と社会の間の翻訳者として、社会に貢献するのが役割」と話した。防災学術連携体に対して、防災庁設置後も社会的な役割を発揮するよう提案した。
 日本地震工学会の大堀道広滋賀県立大学教授は、防災研究の取り組みと、他学会との連携状況について報告。阪神・淡路大震災から30年の節目として昨年1月に実施した講演会をはじめ、地震工学分野のDXに関する研究会、交流大会などの活動を紹介した。
 日本気象学会の立花義裕三重大学教授は、地球温暖化に伴う豪雨、猛暑、豪雪などの気象現象を「気候災害」と位置付け、「自然の現象による気象災害と異なり、気候災害は温室効果ガスの削減によって抑制できる」と指摘。「日本は脱炭素分野のトップランナーになる必要がある」と訴えた。土木学会の塚原健一九州大学教授は「激甚化する気象災害に対応する技術と社会制度の統合」と題して講演した。
 塚原氏は、流域全体で総合的・多層的にに対策を講じる流域治水の取り組みなどを説明した。「住民が自らの居住地の危険性を正しく理解し、行動変容につなげる『自分事化』が重要だ」と呼び掛けた。
 日本建築学会の壁谷澤寿一東京都立大学教授は、「建築分野における耐水構造研究の変遷」について講演した。構造物の耐水性を高めるために、土木分野と建築分野の連携をさらに進めるよう強調した。「水理学の基礎言語などを建築のカリキュラム入れ込んでいく必要がある」と述べた。