本州四国連絡高速道路会社は2026年度、長大橋の維持管理の高度化に向けて開発した橋梁点検支援ツール「BIX-eye」の本格運用を開始する。初弾として、西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の大島大橋(愛媛県今治市)で運用を始める。タブレット端末でBIM/CIMモデルとカメラ映像をMR(複合現実)技術で重畳表示し、橋梁点検の効率化と品質向上につなげる。
BIX-eyeは本四高速道路ブリッジエンジ、IHIインフラシステム、インフォマティクス、ミラリスタと共同開発。17橋の長大橋を管理する本四高速会社は将来的な技術者不足や、複雑な構造物の老朽化への対応など課題を抱える。従来主流だった紙図面や2D図面による維持管理を、3Dモデルを基盤とした手法に高度化するため、約3年かけて開発を進めてきた。
BIX-eyeは、タブレット端末のカメラ画像に3Dモデルをリアルタイムで重ね合わせ、画面上で部材を直接選択し、写真や劣化状態などの変状情報を登録する。登録データはクラウドで一元管理し、過去の登録履歴も参照可能。現地や本社での情報共有や、災害時の迅速な状況把握に役立てる。
位置情報はLiDAR(ライダー)やRTK(リアルタイムキネマティック)で取得する。通信環境が確保できない箱桁内部などは、壁面に貼り付けた専用QRコードを通して位置合わせを行う。SLAM技術による自己位置推定を組み合わせ、移動時でも高精度にモデルと実画像を重ねる。これにより部材位置を3D座標で特定し、誤入力や属人化の抑制につなげる。
運用対象となる大島大橋(1988年供用開始、橋長840メートル)は箱桁構造のつり橋で、構造が比較的シンプルで規模も小さいことから、運用モデル構築の初期段階に適していると判断。実装に向けて、同橋で基盤データの蓄積など実証を進めてきた。
今後は、より大規模で複雑な構造を持つ明石海峡大橋(神戸市垂水区~兵庫県淡路市)で運用を目指す。長大橋技術部の溝上善昭技術推進課長は「本社と現場で同じ視点から点検状況を把握できるのが大きなメリット。橋梁形式によって運用ハードルが異なるなど課題は残るが、引き続き蓄積データや機能の高度化を進めたい」と話した。







