埼玉県の「八潮市で発生した道路陥没事故に関する原因究明委員会」(委員長・藤野陽三城西大学学長)は19日、最終報告を大野元裕埼玉県知事に提出した。事故は硫化水素で腐食した下水道管に起因し、点検・調査の在り方に大きな課題があったと指摘。改善策として点検箇所の映像取得や点検・調査基準の徹底、管理データの蓄積と共有などを挙げた。
最終報告を受け、大野知事は「提言に対して県として速やかに改善策を実施するとともに、国と連携し安全・安心な社会づくりに取り組む」とコメントした。定期点検では腐食度合いが高く、最もリスクが高い箇所を「ランクA」、次いで「ランクB」「ランクC」と続く。陥没事故が起こった場所は、定期点検(2022年2月)でランクBと判定していた。
原因究明委はランクAと評価できなかった要因に▽点検者にシールド構造の詳細が共有されなかった▽評価基準がシールド構造を考慮した基準になっていない▽取得できた映像が不鮮明だった▽画像解析のための十分な時間や労力がなく、高度な知見を有する点検者でなくても判断できる一般的基準がなかった-などを列挙した。
要因を踏まえ、改善策として判断できる映像が取得できていない区間は、光量・画質の改善や他の手段を再考し、再調査を実施するなど映像取得に努めるべきだと提言。取得が不可能な箇所は「要注意」「評価不能」など記録を義務付け、専門家の意見を聞くよう求めた。
県の点検・基準は日本下水道協会の「下水道管路施設の点検・調査マニュアル(案)」(13年6月)に沿っている。陥没箇所は「RC管等(遠心力RC管を含む)および陶管」とされ、シールド構造の管渠で明確な基準がなかった。原因究明委は県が国と連携し、シールド構造に適合した評価基準づくりに取り組むべきだとした。
施設の管理体制は、過去の調査結果や防食工事の実績などで情報の蓄積と共有を要請。点検・調査や補修・補強で技術開発の推進も求めた。






