仙台市、東北学院大学、橋本店/コンクリ品質可視化で連携/簡易透気試験を現場実証

2026年4月24日 行政・団体 [6面]

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 技術の高度化と同時に「人材の地元定着」を実現しようと、仙台市が発注した土木工事で産学官連携のモデル事業が始まった。東北学院大学工学部の武田三弘教授のフィールド研究に、橋本店(仙台市青葉区、武田文孝社長)が橋梁下部工の現場を提供。コンクリート表層部の緻密性を簡易に測定する「簡易透気試験機」を使い、学生が透気係数を計測した。同社が現場の構造物に触れる機会を提供して建設会社の役割を情報発信、発注者は初期段階から構造物の品質を評価する仕組みづくりにつなげる。学生にとっても工事の最前線に立つ貴重な機会となる。
 現場は「(市)向田団地線(向田工区)橋梁下部工および道路改良工事」で、2025年6月に着工した。工事内容は橋台工、のり覆護岸工、道路土工、排水構造物工、舗装工など。工期は27年3月31日まで。
 コンクリートの劣化診断を専門とする武田教授が開発している「簡易透気試験機」は、コンクリート表層の緻密性やひび割れの貫通状況などを迅速に評価できる。フィールド研究では、表面水分率5・5%以下の計測面を負圧状態にし、マイナス60~80キロパスカルに達するまでの時間を測定した。計測は約5分程度だが、ひび割れ箇所などがある場合は短時間で空気が抜ける。透気係数を段階的に色分けすることで、測定結果は一目で評価できる。
 武田教授は「初期段階で構造物の品質状況が把握できれば、耐久性の向上にもつながる」と話す。現場での実装を踏まえ、デジタル化した評価システムも6月に開催する建設技術の展示会「EE東北」で公開する。
 仙台市青葉区宮城総合支所の鈴木陽建設部長は「目視確認が標準だが、数値が得られることで品質向上にもつながる」と、新たな検査手法として期待する。橋本店の山田智也所長は「この現場は若手が中心となって活躍している。品質が数値で評価されることで自信がつき、さらに高みを目指すきっかけにもなる」と語った。
 持続可能な社会や脱炭素に貢献する構造物の長寿命化対策として、コンクリートの品質確保の重要性は増している。東北学院大と仙台市、橋本店の連携は、技術開発や担い手確保の側面からもエポックメーキングな取り組みといえそうだ。