新社長/ムスブホールディングス・久米生泰氏/自立経営で成長力引き出す

2026年6月1日 人事・動静 [1面]

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 村本建設グループが持ち株会社体制へ移行し、1日付で「ムスブホールディングス(HD)」が発足する。建設業界が構造転換期を迎える中、グループ全体のガバナンスを抜本的に強化。人的、財務、技術の各資本を横断的に活用し、成長投資や新規事業を加速する。事業会社ごとに収益責任と権限を明確化し、“自立経営”を通じて持続的な成長を目指す。
 --就任の抱負を。
 「村本建設の社長として一定の経営基盤は整えたが、成長スピードにはなお課題が残る。特に投資判断や事業展開では、一体運営ゆえの制約があった。今回の持ち株会社化は守りではなく攻めの改革だ。各社が自立的に成長し、グループ全体の価値を高めることが私の使命になる」
 --HD移行の狙いは。
 「建設業界では人手不足や資材価格高騰に加え、脱炭素やデジタル化など構造変化が進んでいる。一方で、従来は投資や人員配置、M&A(企業合併・買収)の意思決定が村本建設に集中し、新規領域への展開スピードに限界があった。新体制では戦略機能を担うHDと実行を担う事業会社を分離することで意思決定を速め、戦略実行力を高める。『ムスブHD』という社名には、村本建設に根付いてきた建築と土木が緊密に協力する土壌を発展させ、グループ一体で成長する思いを込めた」
 --新体制の枠組みと経営方針は。
 「村本建設、村本道路、福本設計、村本ビルテクノ、ツーワン、エムズクリップ、ミライズエンジの7社を並列に配置し、各社に収益責任を持たせる。HDは全体の経営管理や人材配置などの意思決定を担い、各事業会社は機動的に事業を展開する。管理部門はシェアードサービスに移行するが、単なる効率化ではなく、経営人材を育成する機能として再設計する。改革の本質は組織ではなく人材だ。専門性の強化に加え、経営的な視点を養う人材育成にも力を注ぐ。管理系人材はグループ横断の異動を通じて財務や人事、企画などを経験し、事業全体が俯瞰(ふかん)できる力を養う。経営に関与できる人材の層を厚くしたい」
 --今後の展望は。
 「村本建設には安定した収益基盤の構築とグループをけん引する役割が求められる。各社もベクトルを合わせ、シナジー(相乗効果)の発揮で事業領域を広げる覚悟が必要になる。今後は村本ビルテクノを核としたメンテナンス事業や、自前施設を活用したドローン事業、医療・福祉、不動産など運営も含めた周辺領域への展開を強化する。M&Aは地域補完や事業補完を軸に進め、『共にグループをつくる仲間』という発想で成長の選択肢を広げる」。
 (6月1日就任)
 (くめ・たかひろ)1987年京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修了、村本建設入社。2002年営業本部副本部長、04年取締役、06年同東京支店長、07年同兼常務執行役員、11年同兼専務執行役員、23年6月社長。趣味はゴルフ。座右の銘は「禍福は糾(あざな)える縄の如し」。鹿児島県出身、65歳。