国土交通省は、建設工事を請け負う際に見積書の提出や書面契約を行う商習慣が浸透していない一人親方に焦点を当て、取引適正化の働き掛けを強化する。全国建設労働組合総連合(全建総連)とも連携し、改正建設業法に基づく対応などの普及方策を検討する。書面での見積もり・契約を定着させ、法定福利費などの必要経費を含めた適正な報酬を受け取れるようにする。不利な立場での価格交渉や、代金支払いを巡るトラブルの抑止効果も期待する。
国交省は2025年11月~26年1月、一人親方本人を対象に働き方の取引実態を調査。1768件の回答中、工事を請け負う際に見積書を提出していないのは61・8%、書面契約を行っていないのは42・6%だった。見積書を未提出の回答者の約7割、書面契約未実施の回答者の約9割が「習慣がない」を理由に挙げた。
改正業法では企業規模の大小を問わず、材料費や労務費、必要経費などを内訳明示した見積書の作成を建設業者に努力義務化した。しかし、この規定を「知らない」との回答は調査で55・7%に達した。内訳明示への対応について「日当のため困難」「複数の工程・作業を同時に担当しているため手間」といった声が多く、一人親方に特有の課題も浮かび上がる。
一方、書面契約を行ったケースで必要経費が「すべて反映されていた」との回答は63・6%で、前年度の調査から8・1ポイント上昇した。根拠を示して価格交渉すれば、適正な報酬として認められる取引環境になってきたとの見方もできる。法改正を契機にその動きは加速するとみられ、一人親方側も積極的に見積もり・契約内容の書面化に対応することが重要になる。
一人親方と取引関係がある建設業者を対象とし、25年11~12月に行った別の調査では、一人親方に見積書の作成・提出を求めていないのが46・2%、契約書の作成・提出を求めていないのが46・4%だった。多くは「口頭で契約している」ことを理由に不透明な見積もり・契約プロセスを残したままでいる。まずは注文者側から率先して書面化を持ち掛ける必要もありそうだ。









