建設業から製造業へ--。高砂熱学工業は、空調設備工事に使う機器類の加工・配送の拠点「T-Base」(埼玉県八潮市)を中核に建設プロセスを変革する「T-Baseプロジェクト」に取り組んでいる。これまでに全国6カ所のサテライト拠点を整備し、施工の省人化と生産性向上を推進。2025年度は同社の38%の現場に関与し、売上高換算で106億円相当の効果を生んだ。今後はさらに4カ所を増設し、30年度に売上高への貢献を500億円、関与現場も75%まで伸ばす方針を打ち出す。
T-Baseは、空調機器や資機材を事前に一つの「ユニット」にまとめ現場作業を減らすオフサイト施工の「マザー工場」として22年5月に開設した。ユニット化で配管設備の取り付けなど同じ作業を繰り返す工程を大幅に減らし、施工の効率化を図る。部材不足による工程遅延を防ぐ側面もある。サテライト拠点は地域ごとに差がある忙しさを平準化できるよう、協力会社・高和会とも連携し順次拡大してきた。
24年9月に累計生産台数1万台を達成した。25年度には計6181台のユニットを生産し130カ所の現場に納入。現場の労務時間にして10万9900時間削減に相当するという。新築工事では、ほぼ100%の現場に関与するという。
プロジェクトの最大の特徴は、ユニットの形を「標準化」のメニューとして代理店を通してオープンにする点にある。生産年齢人口が減少する業界全体の課題解決を念頭に、施工の在り方を現場ごとに部材を組む「一品生産」から1カ所で集中的に製造する「生産管理」に変革する構想を描く。いわば手の内を明かす仕組みだが、オープン化で業界全体の生産性を高めることが将来の自社の優位性確保にもつながると見込む。
T-Baseのもう一つの特徴が、建設現場のイメージを覆す静かで落ち着いた労務環境だ。生産ラインは置換空調により涼しい状態が保たれ、休憩室はカフェのようなおしゃれな内装だ。男女別の更衣室やシャワー室も備える。快適な職場を整え、建設業が未経験の女性や高齢者ら多様な人材が建設業に関われるよう裾野を広げている。
取材当日に勤務していた16人のうち、11人が建設業の出身者ではなかった。同社技術本部の古川潤生産技術部長は「いろいろな人が建設業界に携わってくれることが、業界にとって一番良い」と力を込める。
26年度は産業施設やデータセンター(DC)向けの標準化メニューの開発や、対応物件の拡大に取り組んでいる。ユニット生産台数は1万台、労務時間では14万時間相当を削減する目標を掲げる。今後は他のサブコンとの連携を視野に、さらに変革を進めていく。








