国交省/土砂災害対策の在り方提言骨子案/担い手不足対応の観点からも遠隔施工推進

2026年8月6日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は5日、今後の土砂災害対策の在り方で提言骨子案をまとめた。限られた予算・人材の中で砂防施設などの機能を確保するための方策を示した。施設の状態や費用対効果を定量的に評価した上で、基幹的施設への重点投資と中長期的な維持管理・更新を一体的に進めるとした。砂防事業の担い手不足に向けては遠隔施工技術を推進する方向性を提示した。
 骨子案は、都内で同日開いた「今後の土砂災害対策のあり方検討会」(座長・内田太郎筑波大学生命環境系教授)に示した。人口減少や高齢化、施設の老朽化、自然災害などさまざまな社会構造の変化を踏まえた内容になっている。
 砂防事業などを単なる安全確保の手段ではなく、「地域を維持するための施策」に位置付ける。砂防事業の効果や有効性を関係者への周知にとどめず、一般市民にも積極的、継続的に発信する。土砂災害対策を「自分ごと」として捉える文化を醸成する。
 担い手の確保では、遠隔施工技術などによる生産性向上を推進する。施工現場の安全性向上や省人化だけでなく、担い手の多様化や間口拡大の観点からも遠隔施工技術の活用を進める。
 中山間地域の担い手確保では、分野横断的な人材・技術確保体制の整備を進めるべきだとした。砂防事業だけでなく道路や河川、森林整備などを含めたインフラ全体の課題として捉え、広域連携や官民連携を活用しながら、人材や技術を分野横断で確保・融通する体制が必要だとした。
 人口減少や市町村合併、地域建設業の減少で地域が保有していた災害リスクの把握・見守り機能が低下している。危機回避の観点から、地域固有の災害危険情報の継承・デジタル化も進めるよう求めた。
 施設の老朽化対策は、限られた予算・人材で施設の状態や費用対効果を定量的に評価する。重要交通網や産業を支える基幹的な砂防施設に加え、一度損傷が進むと修繕が極めて困難な施設も、優先的に予防保全を実施する方向性を示した。
 委員からは「『木を見て森を見ず』にならない視点が重要だ」「砂防施設はそれぞれ役割が異なり、機能を失った場合の影響も異なる。個々の施設の健全度だけを見る『アリの目』ではなく、対象となる災害や斜面などを『鳥の目』で見る必要がある」「施設の健全度だけでなく、機能喪失時に潜在的に発生し得る被害を想定するべきだ」などの意見が出た。9月に開く3回目の会合で提言案を議論する見込み。