日本建築センター(橋本公博理事長)が行ったRC造建築物の耐用年数評価によると、調査時点から推計した耐用年数(残存耐用年数)が「100年超」の建築物が約3分の2を占めることが分かった。中でも築年数が50~70年のもので100年超の割合が高い傾向が現れた。これらの建築物のコンクリート強度は総じて低いが、外壁の仕上げモルタルによりコンクリートの中性化が抑制されていると分析した。耐用年数評価を施設マネジメントに活用する地方自治体が増えているという。
同センターは2019年5月に耐用年数評価業務を開始。26年3月までの約7年間の評価実績を公表した。評価棟数は計488棟。築年数が平均52・7年で、法定耐用年数(RC造事務所で50年)とほぼ同じ。公共施設が425棟と全体の87・0%を占めた。用途別では学校が345棟(70・6%)と最多で、複合施設52棟(10・6%)、庁舎43棟(8・8%)と続いた。
建築費の高騰を背景に評価依頼が急増。25年度は24年度の約2・5倍に当たる208棟を評価した。同センター参与で既存建築物技術審査部長の元木周二氏は「公立小中学校の建て替え事業で入札が成立せず、長期活用にかじを切る自治体が増えている」とみる。
残存耐用年数(外壁などの最も屋外側にある鉄筋の数%に中性化が達する年数〈調査時点からの年数〉)を評価した結果、「100年超」が322棟(65・9%)と約3分の2を占めた。評価不能を除き「0~20年未満」35棟、「20~40年未満」27棟、「40~60年未満」24棟となった。
築年数別に見ると、「60~70年未満」の建築物(124棟)のうち耐用年数100年超は94棟(75・8%)。「50~60年未満」の建築物(197棟)では、73・0%に当たる144棟が100年超と評価された。
一方で「30~40年未満」の建築物(39棟)は21棟(53・8%)、「40~50年未満」の建築物(116棟)は59棟(50・8%)が100年超となった。これらのコンクリート強度は総じて高いが、外壁のコンクリートに仕上げモルタルがないため中性化が進行。残存耐用年数が短い建築物が一定数みられると分析した。
元木氏は「築50年以上の建築物は当時の型枠の精度などに問題があり、コンクリート表面にモルタルを塗り平滑な面に仕上げるケースがほぼ100%であった」と解説。「モルタルはセメント、砂、水で構成されアルカリ性が高いため、コンクリートの中性化の進行を抑制し、内部の鉄筋をさびから守っている。このような因果関係から、むしろ築古の建築物で100年超が多いのだろう」との見解を示した。
耐用年数評価を活用して保有施設の長寿命化を計画、検討する自治体が出ている。横浜市と埼玉県坂戸市は、学校施設の長寿命化に向け耐用年数評価を取り入れた。25年度には滋賀県、東京の足立区と渋谷区が、保有施設のマネジメント方針や長寿命化計画などに活用を位置付けた。








