飛島建設は、山岳トンネルの掘削工事で、坑内にいる人や重機の位置・稼働状況をまとめて把握するシステムを開発した。2022年9月に日本での利用が認められた長距離通信規格「Wi-Fi HaLow(ワイ・ファイ・ヘイロー)」を活用。坑内の最奥部まで電波が届くよう工夫した。ローカル5Gなどを使う従来型に比べ、機器の導入・運用コストを大幅に抑えながら、施工管理を効率化できる。
新開発の「トンネル坑内可視化システム」は、現場の情報を一つの画面に集約し、状況を時系列で把握できる。時間や場所、端末を問わず表示でき、作業の効率化やトラブルの早期発見につながる。取得した情報は、作業後の分析や教育にも活用できる。
ワイ・ファイ・ヘイローの採用で、通信環境の確保が難しいトンネル切羽付近でも、低コストでインターネットを利用できる。同規格は免許が不要で、自営で設置できる。1台の親機に複数の子機を接続でき、多くの重機をまとめて管理できる。障害物の多い環境でも通信が安定し、アンテナの設置場所も柔軟に選べる。他の通信機器との互換性も高く、現場の通信網を構築する際には、既存の汎用(はんよう)型通信機器をそのまま利用できる。同社によると、ワイ・ファイ・ヘイローを山岳トンネルの現場に導入するのは国内で初めてという。
位置情報把握には、職員のスマートフォンの接続情報を利用できるため、坑内に入る職員が専用ビーコンなどを新たに携帯する必要もない。親機は連続ベルトコンベヤーの端部を支えるテールピース台車に設置。掘進に伴い必要だった機器の移設作業をなくした。
6月までに、国内の長大トンネル掘削現場でシステムの有効性を実証した。今後は現場への適用を広げ、データの蓄積や機能の拡充を進める。開発担当者は「通信速度よりも距離を優先した。費用対効果を考え、現場のニーズを満たせるようにしたい」としている。








