みんなで守る-防災庁始動・上/国を挙げ備え強化

2026年10月30日 行政・団体 [1面]

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 ◇それぞれの力発揮へ、司令塔の役割担う
 自然災害の発生頻度が増し、被害規模も大きくなっている状況で、命や暮らしを守るには何が必要か。11月2日、平時の備えから発災後の対応、復旧・復興まで一貫して担う政府の司令塔として、防災庁が発足する。石破茂前首相が設置に向けて動き、高市早苗首相が引き継いだ。府省庁や地方自治体、国民と連携し、国全体の防災力を高める。行政と民間がそれぞれの役割を果たせるかが問われる。
 (編集部・遠藤千智、溝口和幸)
 21日に都内で開かれた防災庁設置準備アドバイザー会議で、主査を務める名古屋大学の福和伸夫名誉教授は「防災庁には、それぞれの関係府省庁が最大限の力を発揮できるよう指揮・命令することを期待する」と述べた。
 これまで内閣府の一部門だった防災担当は、内閣直下の組織に格上げされる。防災に関する施策について、関係府省庁が尊重する義務を負う勧告権を持ち、各府省庁と連携して対策を進める。自治体にも寄り添い、地域の実情に応じた支援を行う。
 施策の進み具合を確認し、取り組みが滞っている場合は、原因を見極めた上で必要に応じて勧告権を行使する。防災庁設置準備と防災を担当する細野豪志復興相は、勧告権について「抜かずの宝刀にはしない」と表明している。
 発生が想定される千島海溝、日本海溝、首都直下、南海トラフの各地震に備え、同庁は政府の計画に基づき、被害を減らす目標の達成に向けて対策を進める。防災計画の策定や調査、政策の企画・立案を担う。地域ごとの災害リスクも評価する。自治体への情報提供や助言を通じ、地域の備えを支える。
 同庁の定員は352人。2016年4月に熊本地震が発生した時、内閣府防災担当は約100人の体制だった。被害を減らすための事前の備えに人員を割く余裕がなく、職員を災害対応に集中させざるを得なかった。
 これまでの事例を教訓に、新体制では「総合政策」「災害事態対処」「防災計画」「地域防災」の四つのグループに機能を分ける。内閣官房の幹部は「発災時にも、事前防災など必要な対策を中断しない体制を構築する」と話す。
 災害発生時の対応と、防災計画の策定や調査、企画などを担う部門の役割を分け、大規模災害時にも平時の備えを続けられる体制を整える。発足と同時に、国や自治体、国民に災害への備えを促す「緊急要請」も出す。
 26年は台風の発生数が13年ぶりに30個を超えた。巨大地震の発生も懸念される中、同庁が国を挙げた防災対策を主導する。府省庁や自治体、国民の取り組みを結び付け、災害への対応力を高める。同時に、平時から被害を減らす備えを着実に進める司令塔として、重要な役割を果たすことになる。