論説・コラム

回転窓/誠意が信用を育む [2018年2月23日1面]

 企業の信用力とは何かを考えるとき、1979年に亡くなった陶芸家八木一夫とある百貨店の個展開催を巡るエピソードを思い出す▼八木が東京の百貨店から個展を依頼されたのは60年代。土を素材としたオブジェ風のインテリアアートが注目を集め、作品の人気は高まるばかりのころだった。再三の開催要請を断っていたと、没後25年回顧展の後書きにある▼当初は売れなくなれば個展をやめる、作家を育てる姿勢がないと批判。ただ責...続きを読む

回転窓/「働き方改革」の最適解 [2018年2月22日1面]

 働く場所や時間などを社員が自由に選べる-。こんな「Work from Anywhere and Anytime(WAA)」がいつでもどこでも好きなように働くことを認めるユニークな制度として注目を集めている▼16年7月にWAAを導入した日用品大手のユニリーバ・ジャパン。上司に申請すれば理由を問わず、自宅やカフェ、図書館など会社以外の場所で勤務できる。大半の社員がWAAを活用し、ワーク・ライフ・バラ...続きを読む

回転窓/神秘の巨大地下空間 [2018年2月21日1面]

 先週末に宇都宮市を訪れ、目当ての資料館をようやく見学できた。栃木県の名産「大谷石」の地下採掘場跡を公開している「大谷資料館」である。話題の資料館と知りつつなかなか行く機会がなかった▼地下30メートルに広がる神秘の巨大空間へ-。パンフレットには、興味をかき立てるそんな文言が。この言葉にふさわしい見応えのある資料館で、江戸時代に本格的に始まった採掘の歴史を教えられた▼建築材料としての大谷石は旧帝国ホ...続きを読む

回転窓/旅の効用 [2018年2月20日1面]

 旅をすることの目的は? 名所旧跡、温泉、グルメ、レジャー…。人それぞれ、その時々によるだろうが、旅の後、訪ねた国や土地、そこに暮らす人たちに親近感を持つようになることは、意識するしないにかかわらず、旅の大きな効用の一つといえるのではないか▼旅した土地がテレビなどで紹介されればつい目が行くし、大きな災害にでも見舞われれば、身内のことのように心配になる。その国の選手がオリンピックに出場すれば応援した...続きを読む

シリーズ・国のかたちを考える2018/JR東日本会長・清野智氏 [2018年2月20日1面]

 ◇地域の顔であり続ける駅の魅力向上
 鉄道が新たな交通インフラとして初めて世の中に出てきたころは、街の真ん中にそんなものを造られたら困るという理由で整備が思うように進まなかった所も多かったと聞く。状況が大きく変わったのは戦後。駅が街の中心に位置付けられ、地域の発展に寄与するようになった。
 かつて駅舎は片側だけにあるのが普通で、反対側には「駅裏」というマイナスイメージの呼び方もあった。そこで...続きを読む

回転窓/カタチのないオフィス形態 [2018年2月19日1面]

 主要駅の近くなどに「シェアオフィス」が増えてきた。政府が進める働き方改革を追い風に、不動産各社がシェアオフィス事業に力を入れる▼既存スペースの有効活用を狙いにNTTグループなど新規参入組も多いと聞く。自宅や営業先の近くに「テレワーク」のできる場所があれば、わざわざ出社しなくても行える仕事は意外と多い▼シェアオフィスはフリーランスや起業したばかりの個人事業主だけでなく、時短勤務につながると大手企業...続きを読む

回転窓/空気感を読む力 [2018年2月16日1面]

 初対面の方とのインタビュー。その日の取材が期待通りの成果を上げられるか否か、開始数分でおおよその判断が付くことが多い▼聞き手側の技量によるところが大きいのだが、双方の間の「空気」が直感的にそれを感じさせる。お互いの相性もあるだろうし、後半になるほど多弁になる方もおられるので一概には言えないものの、成否は既に冒頭で決している▼「きょうは駄目そうだ」となった場合に、冷や汗をかきつつも、何とか挽回しよ...続きを読む

回転窓/温かいお金 [2018年2月15日1面]

 哲学者の内山節氏が著書『怯(おび)えの時代』(新潮社)で、「冷たいお金」と「温かいお金」という考え方を披露している▼現代のシステムで利用されるほとんどのお金は、貨幣上の価値だけが考慮される「冷たいお金」。だが、大切な人への贈り物に使うお金など、人と人との関係の中で使われる貨幣には幸福感や他人を思いやる気持ちなどお金には換算できない価値が伴う▼紙幣はもちろん、最近何かと話題の仮想通貨も社会の道具と...続きを読む

回転窓/花粉症と働き方改革 [2018年2月14日1面]

 今春は昨年よりも厳しい覚悟が必要かもしれない。花粉症に悩む人は18年の花粉飛散予測を知り、そんな憂鬱(ゆううつ)な気持ちになっているであろう▼今春はスギやヒノキの花粉飛散量が東北から関東北部、東海地方の一部で昨春よりかなり多いと予測されている。昨夏に一部地域を除いて日照時間が平年よりやや長かったことに加え、昨春の飛散量は例年より少なかった。この二つが、今春に飛散量が多くなる要因だという▼インフル...続きを読む

シリーズ・国のかたちを考える2018/野村総合研究所顧問・増田寛也氏 [2018年2月14日1面]

 ◇人口減少で仕組み点検・再構築
 わが国が直面する一番大きな問題は人口減少であり、その影響が社会全体に広がりつつある。人口増を前提に整備されてきた制度が多く、これまでのやり方や既成概念を抜本的に見直していく必要がある。土地や社会保障など既存の基礎的な仕組みを点検し、「うまく縮みながら国を豊かにする施策」を冷静に考えていかなければならない。
 同時に建設業も含めた多くの分野で人手不足が顕在化す...続きを読む

回転窓/春までもう少し [2018年2月13日1面]

 今冬最強の寒波、記録的な降雪、立ち往生した長い車列。立春が過ぎたとはいえ、列島各地から届くニュースは寒さに震えるものが目立つ▼春を語るのは気が早いかもしれないが、その足音は少しずつだが聞こえ始めている。青い桜のような花を咲かせるわすれな草、開花した苗も出回るクリスマスローズ、薄紅や黄桃が色鮮やかなパンジー。春を彩る花々は苗の出荷が最盛期を迎え、花屋の軒先もずいぶん華やかになってきた▼関東でも温暖...続きを読む

回転窓/採用戦線、間もなく本格化 [2018年2月9日1面]

 ほとんどあらゆる産業分野で課題になっている人材確保。新聞紙面などで「人手不足」という言葉を目にしない日は無いといってもよいだろう▼人の仕事を機械やシステムで代替する取り組みは活発化する一方だが、どうしても人に頼らざるを得ない部分は残る。そもそも機械やシステムを開発するのは人間の仕事である▼19年春に卒業する大学生らの就職活動が本格化する。3月には企業エントリーが始まり、それに続く4~6月が選考の...続きを読む

国のかたちを考える・対談/東大大学院特任准教授・松尾豊氏×国交省技監・森昌文氏 [2018年2月9日1面]

 日刊建設工業新聞は創刊90周年特別企画として、国土交通省などの幹部と各分野の識者や産業界で活躍する人との対談を通じ、これからの「国のかたち」を探るシリーズを展開していく。第1弾は、人工知能(AI)研究の第一人者である松尾豊東京大学大学院特任准教授と、国交省の森昌文技監が語り合った。
=10面に対談
 石井啓一国交相は、就任以来進めてきた省を挙げた生産性向上の取り組みについて、今年を「深化の年...続きを読む

回転窓/安定輸送に必要なものは [2018年2月8日1面]

 朝の通勤の駅で電車の遅延を知らせるアナウンス。声の主の駅員には非はないと分かってはいても、つい舌打ちが出てしまう。あらかじめ時間に余裕を持って行動していればそれほど焦ることもないのだろうが、なかなかそうはいかないという方も多かろう▼交通ネットワークが多重化していれば振り替え輸送で難を逃れることもできるが、これは電車やバスが網の目のように走る都心部での話。公共交通機関がぜい弱な郊外や地方では、トラ...続きを読む

回転窓/伊能忠敬没後200年に [2018年2月7日1面]

 「推歩」の意味は辞書に「天体の運行を推測すること」とある。あまりに熱心に天体を観測していたため、師事した幕府天文方・高橋至時に付けられたあだ名が「推歩先生」であったという▼江戸時代に全国を初めて測量して日本地図を完成させた伊能忠敬がその人。50歳で江戸に出て至時の弟子となり、天文学・暦学の勉強と天体観測に明け暮れていたようだ▼そうして55歳になった忠敬がなぜ全国測量を始めたのか。至時から子午線1...続きを読む
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