国直轄工事の設計変更4割で数量減少・打ち切り、理由は予算制約が最多/日建連調査

2025年4月30日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 資材価格の高騰や労務費の上昇が続く中、国の公共事業予算は横ばいで推移し、実質的な事業量が減少している傾向が日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の調査で明らかになった。2024年度の直轄工事のうち、設計変更に伴い工事数量の減少や工事打ち切りになった割合は40%に上り、前年度と比べ4ポイント上昇した。「発注者側で拠出可能な予算がなくなったため」など予算制約による理由が多く上がった。
 調査は24年11、12月に行った。23年10月~24年9月に竣工または施工期間中の3億円以上の土木工事を対象に調べた。会員企業58社が回答した。
 調査結果によると、24年度に設計変更が行われた直轄の道路・河川工事のうち、40%で当初の工事数量の減少や打ち切りがあった。発注機関別に見ると、国土交通省東北地方整備局は工事数量の減少や打ち切りが発生した割合が70%(前年度比3ポイント上昇)と最も高かった。内閣府沖縄総合事務局は33%。0%だった前年度から大幅に上昇した。
 工事数量の減少や打ち切りの要因を見ると「発注者側の予算制約のため(拠出可能な予算がなくなった)」が29%で最多。「他工事の進捗を考慮したため」(13%)、「設計ミス、設計見直し」(同)、「発注者の予算繰越が認められなかった」(11%)と予算関連の要因が多くを占めた。
 例えばトンネル工事で設計変更が行われる場合、工事費を据え置いたまま施工延長が短縮されるなど、当初の工事数量(事業量)が実質減った事例があるという。
 国の公共事業関係の当初予算は過去10年間、6兆円前後で推移しているが、建設工事費デフレーターは上昇しており、実質的な予算額は減少している。15年度を基準年に建設工事費デフレーターを100とした場合、23年度は123・3に上昇。直近3年間は平均5%の伸び率で推移している。
 この結果、各地方整備局の工事契約件数は減少傾向にある。19年度の8008件に対し、23年度は6292件に減少した。日建連は調査結果を踏まえ、国に対して適切な公共事業予算の確保などを求めていく。