福岡市の諮問機関である同市病院事業運営審議会(会長・平田泰彦福岡市医師会参与)は20日、2025年度第1回の会合を開き、老朽化に伴う移転建て替えを検討している福岡市民病院(博多区吉塚本町)について、東区の計4カ所の移転候補地を比較し、福岡中学校(東区馬出、敷地面積約2ヘクタール)と箱崎中学校(東区筥松、同)が適していると評価した。11月にも第2回会合を開いて市への答申を取りまとめ、高島宗一郎市長に答申する。
前回の審議会で示した国家公務員共済組合連合会(KKR)が運営する千早病院(東区千早)との統合については、協議を開始したと報告。新病院は病床数300~350床、施設規模は延べ3万5000平方メートル程度を想定している。
移転候補地は両中学校のほか、かしいかえん跡地(東区香住ケ丘、約12ヘクタール)、香椎浜ふ頭緑地(東区香椎浜ふ頭、約4ヘクタール)で、▽土地の状況・活用性▽医療環境への影響▽利便性▽救急・災害対応▽経済性-の5項目の計100点満点で、70点以上を適、50~69点を可として評価した。
最も点数が高かった福岡中は、馬出小学校の敷地で計画する施設一体型小中学校の整備が順調に進めば5年以内に活用可能な土地となる点や緊急輸送道路に近い点を評価。一方で九州大学病院など他の病院と近接しており、医療機関への影響で点数が低かった。
次に高かった箱崎中は、他病院と距離があるため医療機関への影響が少ない点や土地区画整理事業の範囲内で造成工事が不要な点が評価された。一方で緊急輸送道路から離れている点で評価が低かった。
かしいかえん跡地と香椎浜ふ頭緑地は可の評価だった。
審議会では、感染症医療や救急医療など公立病院として不採算医療を担っていく必要があると強調。委員からは、救急医療に対応するには緊急輸送道路に近い方が良いと福岡中を推す声が多かった。一方で福岡中に移転する場合、近接する九州大学病院と機能分担をする必要があり、高額な医療機器や電子カルテの共有の検討などを求める声が上がった。
市は答申に基づき役割と機能や整備場所などの方針を決定し、その後市と市民病院を運営する福岡市立病院機構で新病院基本構想の策定に着手する。