建設業で時間外労働の上限規制が適用後も、主に現場で下請となる専門工事会社に雇用される技能者などの休日取得状況がそれほど改善されていないことが、建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)の調査で分かった。2024年11、12月時点で実際の休日取得が「4週8休以上」との回答は10・3%で、1年前の10・2%とほぼ変わりなかった。特に公共工事と民間工事で現場閉所の対応に大きな差があり、元請側には週休2日を見込んだ工期の確保や、設計変更に伴う工期延長の徹底を求める声が上がっている。
24年度の「働き方改革における週休2日制、専門工事業の適正な評価に関する調査」の結果を公表した。建専連会員34団体に調査協力を依頼し834社の回答があった。
就業規則などで4週8休以上を規定する企業は年々増えて27・5%だったが、実際に取得できた休日とは隔たりがある。4週8休以上を実際に取得できたのは、公共工事主体の企業で前年度比9・4ポイント増の24・1%。ただし民間工事主体の企業では2・2ポイント減の6・7%とむしろ悪化した。
4週8休以上を「ほとんどの現場で確保していなかった」との回答は24・9%。うち公共主体の企業の回答率は8・4%にとどまるが、民間主体の企業では30・6%に達した。時間外労働の罰則付き上限規制で原則となる年360時間を、技能者の平均で超えた企業は8・3%。前年度から3・8ポイント減だったが、規制適用後も約1割の企業は原則規定をクリアできていない。
調査主体の「建設技能労働者の働き方改革検討委員会」で委員長を務める蟹澤宏剛芝浦工業大学教授は、特に工期や工程の面で「受け身」にならざるを得ない下請の個社単位での努力には限界があり、元請を含む「業界一丸」での対応が求められると指摘する。
調査で休日所得状況が改善しなかったのは、元請の受注時期が規制適用前だったという理由があるかもしれないと前置きしつつ、「ゼネコンが十分な工期を確保し、仮に発注者の事情で手戻りや設計変更が発生すれば工期を延ばすなどの交渉が必要だ」と訴える。
改正建設業法に規定された「恐れ(リスク)情報」に基づく契約変更協議の円滑化措置が24年12月に施行されたことに触れ、「変更すべきなのは、お金だけではない。工期もセットだ」と強調。新たな法規定も活用した対応の徹底を元下双方に呼び掛ける。