関東整備局/宮ケ瀬ダム(神奈川県愛川町)で堆積土除去、リフレッシュ事業始動

2025年5月8日 工事・計画 [5面]

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 関東地方整備局が、ダムに堆積した土砂を撤去する「ダムリフレッシュプロジェクト」を宮ケ瀬ダム(神奈川県愛川町)で始動する。大雨などによって運ばれてきた土砂がたまると、ダムの貯水機能が低下する可能性がある。同局は土砂の撤去作業と撤去した土砂の保管スペースを整備。合わせてダムへの流入を軽減する貯砂ダムを上流に設ける。2025年度に設計業務などに着手する。
 予防保全対策の一環で、国土交通省はダムの流入部付近に堆積した土砂を撤去するダムリフレッシュ事業を実施している。洪水時に水を一時的にためておく「洪水調整機能」の低下を防ぐ。
 宮ケ瀬ダムは01年に完成した重力式コンクリートダムで治水と利水、河川環境の保全などの役割を担っている。供用開始以降、ダム内に堆積する土砂は気候変動に伴う豪雨などの影響で急速に増加。洪水調整機能に支障を来す恐れがある。関東整備局は堆積土の除去作業などを始める。同局管内でリフレッシュ事業を行うのは同ダムが始めて。
 25年度は土砂の撤去や土砂置き場を整備するため、設計検討業務の委託費として3000万円を新規計上。土砂置き場の整備と並行しながら堆積土の搬出を進める。堆積土の流入を抑えるため、ダムへ流入する中津川付近に貯砂ダムを設ける。
 全体の事業期間は41年度を予定する。事業費は未定だが、「数十億円規模になる」(河川部)見通し。保管した土砂は他事業に有効利用する方針で、主に波の影響で削られた砂浜の養浜材として使用する。
 国交省の公表資料によると、対策が必要なダムは全国で21カ所を数え、堆積砂量は22年度時点で約1億9000万立方メートル。洪水調節容量内の堆積量は約2400万立方メートルに上る。