大成建設/在来植物の四季を再現する室内緑化技術を開発、灌水量8割削減

2025年5月9日 技術・商品 [3面]

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 大成建設は、これまで難しかった日本の在来植物で四季の変化を体感できる室内緑化技術を開発した。61種類の在来種をプランターの露出を抑えて植えることで、屋外の自然と一体的に続くように設置できる。土壌などを工夫し、与える水の量も従来技術に比べ大幅に減らした。人間と自然とのつながりを醸す「バイオフィリックデザイン」の技術として、オフィスや商業施設の新築・改修工事に積極提案していく。
 室内緑化では寒暖差が少ないため在来種が育ちにくいとされ、一般的に熱帯植物が用いられる。新技術「T-バイオフィリックグリーン」では、同社技術センター(横浜市戸塚区)近くに自生し、関東以南にも分布する植物を中心に、2年間の生育試験により温度変化に乏しい環境でも育つ種を選定。土壌は植物が根を張りやすく保水にも適した配合とし、従来の技術に比べ、水やりの量を約80%減らしている。
 植物を支えるステンレス製の大型プランターは、外周をアクリル系樹脂を混ぜた土壌により覆うことで露出部分を約98%削減。強度を保ちながら自然な外観を再現した。
 同センターで2022年2月~24年8月に行った実証試験では、5平方メートルの区域にヤマハゼやコナラなど61種200株の植物を植えた。いずれも良好な伸長量と植被率を保ち、このうち15種の開花と9種の紅葉を確認した。
 開発担当者によると、紅葉する落葉樹を使った室内緑化の事例は少なく、「長期間の実証は初めてではないか」と語る。新技術はグッドデザイン賞2023を受賞。現在、特許を出願している。