東京都が島しょ部エリアでの再生可能エネルギーや自然災害に対応する施設整備計画を相次いで打ち出している。伊豆諸島海域ではギガワット級の浮体式洋上風力発電設備を造る。小笠原諸島では風水害に対応するため堰堤工や流路工などを早期に行う。気候変動に伴う海面上昇に対しては、伊豆・小笠原の両諸島で護岸をかさ上げする。
伊豆諸島海域は風速9メートルを超える好風況の海域で、風力発電に適している。浮体式洋上風力発電で仮に1ギガワット発電すると、90万世帯分の電力需要を賄えるという。2025年度は同諸島近海での漁業操業の実態調査のほか、鳥類や海生哺乳類などの生息状況を調査する。
小笠原諸島に対しては、24年に自立的発展を目指す「小笠原諸島振興開発計画」(計画期間24~28年度)を策定した。産業の振興だけでなく、住民が安心して生活できる環境なども整える。同諸島は台風の通過ポイントにあることから災害対策も推し進める。
父島の八ツ瀬川流域や、母島の大谷川流域で砂防施設の早期完成に向けて取り組む。父島の避難道路は、関係機関との調整や住民説明会で合意形成を図り、事業中区間の整備を急ぐ。
無電柱化も推進。電力供給や通信の確保に必要な区間(約13キロ)の都道を対象に工事する。父島の二見港で、最大規模の地震や津波に対応した緊急輸送用岸壁も造る。
気候変動に対しては3月に『伊豆小笠原諸島沿岸海岸保全基本計画』を改定した。護岸のかさ上げなどで平均海面水位の上昇に対応する。
同計画によると、伊豆・小笠原諸島各海岸の現地状況を踏まえ、優先順位を決めて護岸のかさ上げなどを実施。長い年月を経て上昇していく海面水位に対応する。かさ上げだけでなく、海岸の利用環境を考慮し、離岸堤や養浜など複数の施設を整備する。