沖縄県は、西原町東崎と与那原町東浜の中城湾港マリンタウン地区で計画するMICE(国際的なイベント)エリア形成に向けた2024年度の調査検討業務の報告書を公表した。大型MICE施設の建設・運営事業と一体的に行う方針となっている地区内の公有地活用については、民間事業者の参画意欲を高める観点などから切り離す考えを有力案として示した。25年度は公有地活用の用途見直しなどを検討し、必要に応じてMICEエリア形成事業の基本計画の改定内容にも反映させる。
大型MICE施設を整備する「沖縄県マリンタウン国際会議・大型展示場整備運営等事業」については、24年6月に公告した一般競争入札(WTO対象)が不調となった。これを受け、26年度以降の早期に再公告できるよう、25年度はBT(建設・移管)+コンセッション(公共施設等運営権)方式のPFIとしている事業方式や事業範囲の見直しなどを進める。
不調となった入札公告では公有地活用について、大型MICEゾーン(約14・5ヘクタール)の東側に位置するH1ゾーン(約3・47ヘクタール)での宿泊施設の整備、同ゾーンの西側にあるH3-Tゾーン(約1・14ヘクタール)内での交通ターミナル整備を必須要件に設定。併せて、同地区の南側にあるH2ゾーン(約2・9ヘクタール)などでの収益施設の提案を任意としていた。
報告書ではエリア全体で統一した街づくりを推進するため、ビジョンや課題を共有する地権者らを中心としたエリア協議会、デベロッパーらによるエリアマネジメント組織の設立を必要とした。大型MICE事業の再公告が遅れる場合でも、エリアマネジメントを着実に推進できるよう、公有地活用を大型MICE事業と切り分けるのが有力とされた。
必須となっていたH1ゾーンの宿泊施設は、商業機能などの多用途との複合化を視野に25年度の調査業務の中で検討を深める考え。
24年度の調査検討業務はデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが担当。