東京都中央卸売市場は、都内に構える11市場の機能強化に向けた設計や改修工事を推進する。2025年度に合計約60億円の予算を計上した。板橋市場(板橋区)は老朽化が進む青果部の建物をリニューアルするため、基本設計の委託先を決めるプロポーザルを公告した。淀橋市場(新宿区)では新事務所棟の建設に向けた準備工事を進める。このほかの市場では設備などの改修に取り組む。
板橋市場の青果部の建物は完成から50年以上が経過し、早期の対応を迫られていた。工事ではローリング方式を採用。既存の一部建物を解体後、跡地と隣接地に建物を新設する。新築した建物に卸売場などを移した後、既存市場棟を改修する。33年度前半には全ての工事を完了する。
改修・新築後、同部の卸売場は既存の約1・2倍、仲卸売場は約2・2倍、荷さばき場・積み込み場と加工パッケージ場は約3・1倍に広がる。総延べ床面積は約3万2700平方メートルとなる。
淀橋市場は25年度に正門の巡視詰め所を新築し、26年度には新事務所建設工事に入る。新事務所棟は5階建て延べ約7000平方メートルの規模を見込んでいる。同棟を建設後、既存の事務所棟は解体する。解体工事は29年度に始める予定だ。
食肉市場(港区)と足立市場(足立区)では、特定フロン「R22」を冷媒に使っている冷蔵庫を配置している。R22は20年に製造中止となり、冷蔵庫自体も老朽化が進んでいるため冷蔵庫を改修する。25年度予算に冷蔵庫の改修費用を含め、食肉市場は14億9600万円、足立市場は10億6100万円を充てた。
青果物と花きを扱う葛西市場(江戸川区)は、老朽化した花き棟屋上の防水改修工事を進める。北足立市場(足立区)は立体駐車場棟のエレベーターの更新、豊洲市場(江東区)は壁面緑化に向けた改修工事を行う。