日本橋梁建設協会(橋建協)の新会長に就任した川田忠裕氏(川田工業社長)が6日、東京都内で記者会見を開いた=写真。鋼橋の年間発注量が20万トンを割る厳しい状況が続く中で、需要の拡大を最重要課題に位置付ける。鋼橋の必要性や優位性を発注者に訴求する「需要拡大戦略特別委員会」を新設し、需要の確保を狙う方針を明らかにした。
鋼橋の年間発注量は2019年度から20万トンを割れ、非常に厳しい状況にある。大阪湾岸線西伸部といった大規模事業が控えるものの「事業開始までの数年間は10万トン前後の受注にとどまる可能性がある」と懸念を示した。「各社の工場の維持が非常に難しい状況が続く」とも説明し、需要の拡大に力を注ぐ考えだ。
需要拡大戦略特別委員会は「地元の不安や意見を拾い上げ、ともに鋼橋事業を提案していく」と役割を説明した。鋼橋の架設による地域創生や防災効果といった優位性をアピールし、受注側から積極的な事業化を後押しする。資材価格の高騰で発注量が減る中で「数十年という長いスパンで進める需要拡大戦術になる」との考えを示した。
「日本の橋梁技術者は世界一」と話し、技術を継承していく重要性も指摘。若手の技術者を育てるため、アーチ橋やトラス橋など象徴的な橋梁や海外プロジェクトへの参画を後押しする考え。作業の昼間への限定や、AIによる注意喚起システムの導入を安全対策にも力を入れる。
鋼橋事業の強化に向け、デジタル技術のさらなる活用や生産性の向上にも意欲を示した。「技術者の負担軽減や運動環境の改善に貢献していきたい」と話した。災害復旧時には、河川内の橋脚数を減らした「ピアレス橋梁」を積極的に提案し、国土強靱化に貢献していく方針を示した。