社整審道路分科会中国小委/中国横断道米子~境港間でルート帯3案を提示

2025年6月16日 工事・計画 [17面]

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 中国地方整備局は13日、広島市内で社会資本整備審議会(社整審、国土交通相の諮問機関)道路分科会の中国地方小委員会(委員長・渡邉一成福山市立大学都市経営学部教授)を開き=写真、計画段階評価の対象となる中国横断自動車道岡山米子線米子~境港間(延長約21キロ)のルート帯案を示した。道路交通や沿道の課題を踏まえ、弓ケ丘半島南部で市街地の東側、中央、西側を通る三つのルート帯を提示。アンケートなど意見聴取方法とともに了承された。
 対象区間は岡山米子線(岡山市~鳥取県境港市間約128キロ)の一部で、1997年3月までに岡山市から鳥取県米子市までの約107キロが一部暫定2車線を含めて供用。残りの米子~境港間は調査中の区間になっている。
 米子、境港両市などでは観光需要が高まり、物流量も増加しており、国道431号は慢性的に交通渋滞が発生。災害時は避難ルートにもなり、地元自治体や経済団体などが早期事業化を要望している。
 24年度に開いた小委員会では地域の意見や将来像などを踏まえ、「着実に計画段階評価の検討を進めるべきだ」と意見が一致。今回の小委員会では「産業の活性化」や「信頼性の高いネットワークの確保」など政策目標を達成するため、幅1キロ程度の複数のルート帯案を提示した。
 東側ルートは国道431号の道路空間を活用。延長は約20キロ。全線が高架構造のため、事業費は4300億~5300億円と最も高い。中央ルートは都市拠点や物流施設へのアクセス性や自然環境に配慮。延長は約20キロ。盛り土区間が長く事業費は3500億~4500億円で最も安い。西側ルートは市街地を極力回避する案で、延長は約24キロ。中海に橋梁を設けるため、事業費は3700億~4700億円を見込む。
 委員からは工事中の交通規制や自然環境への影響に配慮すべきだなどの意見が出たが、道路整備の必要性に理解を示し、三つのルート帯案を了承。今後実施する意見聴取については、エリアを広げてほしいなどの要望があった。
 次回の小委員会ではアンケートやヒアリングの結果などを踏まえ、概略ルートや構造を示した対応方針案について意見を聞く。