竹中土木は10日、静岡県沼津市の中間処理施設敷地造成工事の現場内で、建設用3Dプリンターを用いた階段工の施工見学会を開催した。工事の発注者である沼津市の職員約50人が参加。建設用3Dプリンターによる階段部の製作を見学するとともに、作業スピードや強度などで意見を交わした。
見学会が行われたのは市が発注した「令和5年度沼津市新中間処理施設敷地造成工事」。新たなごみ処理施設の建て替え用地を造成している。施工は竹中土木・集組JV。工期は2023年10月17日~26年3月14日となっている。
建設用3Dプリンターで17段の階段を製作する。高低差3・4メートル、斜距離5・8メートル、横幅2・4メートルの大きさ。プリンターで造形できる大きさを考慮し、横方向に2ブロック、縦方向は3ブロックの計6ブロックに分割し、造形する。完成後はクレーンでつり上げて重力式擁壁に取り付ける。
パソコンで各ブロックの3Dモデルを作成し、データに従ってプリンターが専用モルタルを層状に積層していく。形状は階段を横にした格好で、段差部は中空状となる。1層(1センチ)ごと積層し、先に積層したモルタルが後から積層されるモルタルの重さで変形しないよう、注意しながら120回積み重ねて1・2メートルの高さにする。中空状部分はコンクリートを充填し、養生期間は約3日となる。
作業員が1段ずつ施工する場合と比較し、工期短縮や省人化が可能になる。足場を組む必要がないため安全性も高い。同社の柿澤雅樹技術開発部長は「3Dプリンターを活用した現場は今回が2現場目になる。円形など小回りが利く複雑な造形にメリットがあり、上手に活用すれば省人化や施工性の向上につながる」とし、今後も積極的に活用する方針だ。