千葉銀行系のちばぎん総合研究所の受託調査リポート「県内企業の2024年問題への対応状況」によると、適用から1年になる時間外労働上限規制について、建設業の約5割が自社の経営に「悪い影響」を及ぼしたことが分かった。一方、「どちらともいえない」「影響はない」の割合も4割強に上る。規制適用までの猶予期間のうちに2024年問題への対応を前倒しで取り組んできた事業者が少なくないと見られる。
影響の具体的な内容(複数回答)は、「採用難による人手不足」(46・3%)、「外注費の増加・外注先の不足」(36・7%)、「従業員の処遇改善」(33・3%)、「高齢化・離職による人手不足」(28・2%)といった人手不足とその波及に関する回答が上位を占めた。「余裕のある工期の確保」「値上げ交渉の進展」など実務面への影響も2割程度あった。
2024年問題への対応状況を見ると、「具体的な対応策を十分に実施し、今後対応する予定がない(対応完了済み)」(16・8%)、「具体的な対応策を一部実施し、今後も対応を行っていく(一部対応済み)」(52・3%)となっており、約7割の事業者が対策に取り組んでいる。
対応が進まない理由では、「人員・時間の余裕がない」が62・7%で最多。続いて「特にない・必要性を感じない」(19・7%)となった。事業者の中には猶予期限の到来に先駆け、時間外労働を削減してきた事業者が一定程度存在していると見られる。
地方自治体への支援要望を聞いたところ、「求人強化のための支援」が56・3%と最も多く、事業者の人手確保・育成の難しさを反映している。続いて「賃上げのための補助金導入」(49・1%)、「事業効率化のための補助金導入」(39・5%)となった。
調査は24年12月4~20日にアンケート用紙への記入またはウェブアンケートフォームへの入力で実施。県内に立地する建設事業者1000社を対象に行い、180社(有効回答率18・0%)の回答を集計した。