国交省/請負代金など変更方法、標準約款にルール明確化/金額算出や負担協議に焦点

2025年7月1日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省は6月30日の中央建設業審議会(中建審)総会に、12月までの改正建設業法の全面施行に合わせ実施する建設工事標準請負契約約款(標準約款)の改定方針案を示した。改正業法の2024年12月施行分で請負代金などの「変更方法」を契約書の法定記載事項と明確化。契約書に最低限盛り込むべき内容を標準約款に位置付ける。建設業団体からは変更額の算出方法や、変更協議の実施方法を具体的に記載すべきだとの意見が出ている。
 標準約款は公共工事と民間工事、下請契約のそれぞれに合わせた「契約書のひな型」として中建審が作成し実施を勧告する。改正業法に基づく「労務費に関する基準(標準労務費)」を中建審が12月までに作成・勧告するのに合わせ、改正業法の規定内容を反映する形で改定する。
 総会では契約変更協議の条項見直しと、選択的条項として新設する「コミットメント」制度を主な改定内容として提示した。コミットメント条項は標準労務費に関するワーキンググループ(WG)で具体化する予定。請負代金などの変更方法で国交省は「工事に関する価格などの変動の内容や、その他の事情などを考慮する」など、最低限の内容を標準約款に記載する方向で検討するとした。
 日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長は「契約当事者双方で具体的に何をすべきか明確になるようなルールを定めてほしい」と変更方法を要望。資材高騰時の変更額算出で根拠を明確化するなど具体例を示しつつ、変更額の負担ルールは政府の指針などを踏まえ「基本的に価格転嫁を前提に考えてほしい」と訴えた。
 民間工事では標準約款が利用されなかったり一部条項が削られたりする実情にあることから「まさに『標準』として利用されるよう積極的な取り組みを」と呼び掛けた。
 公共工事の標準約款では数量の増減に起因する変更で受発注者の協議が整わない場合、発注者が暫定的に変更額を設定する規定がある。これも受発注者が対等に交渉する方法に見直すべきだとの意見があり、具体的な修正内容を検討する。全国建設業協会(全建)の今井雅則会長は「早く決める方法にしないと工事が止まりかねない」と話し、対等性の確保とともにスピード感を重視した検討を要望した。