建設業福祉共済団(茂木繁理事長)は、年間完成工事高契約の最高補償額に当たる保険金区分を現在の5000万円から6000万円に引き上げる検討を始めた。2021年10月に保険金区分5000万円を新設したが、より高額な示談金を払う事例が増えている。保険金区分を改正し26年度から実施したい考え。実態調査や検証を行い厚生労働省や国土交通省ら認可官庁に申請する。
14~23年度で契約者が5000万円以上を負担した事例は11件あった。元下間で契約者以外が5000万円以上を負担した事例も9件あり、うち5件は7000万円に達した。元請だけでなく1次、2次下請でも負担している。契約者が関係した事故で被災者に5000万円超を支払った事例は14~23年度で54社あった。事故後に保険金区分を増額したケースが20社あり、うち5000万円に引き上げたのが15社。契約を解消した社(現契約無し)が11社あった。
6月30日に東京都内で会見した茂木理事長は「いざという場合に不足して役に立たない保険では意味がない。契約者が他の保険にも加入せざるを得ないようでは当団の保険が公益性を十分に果たしているとは言い難い」と指摘。「少なくとも6000万円あるいは示談金の支払額で頻発している7000万円を保険数理でどこまで妥当か検証した上で、保険金区分の最高額を改正し契約者の備えを極力支援していく必要がある」と述べた。