ICT施工、自治体・小規模工事で広がり/国交省が要領拡充や支援継続

2025年7月11日 行政・団体 [1面]

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 国直轄工事でICT施工を経験したC・Dランクの建設会社の割合が約6割まで増加し、地方自治体による発注件数も右肩上がりに伸びている。国土交通省は中小建設会社へのICT施工のさらなる普及拡大に向け、小規模工事向けに出来形計測を省力化する新たな手法を適用するため2025年度に要領を拡充。都道府県・政令市を支援する専門家の派遣も続けており、地域特有のニーズに応じた自治体独自のICT活用の仕組みづくりが進展している。
 公共土木工事で24年度までのICT施工の実績を見ると、直轄工事では地域に根付くC・Dランクの建設会社の経験割合が58・4%(3287社中1921社)と1年前から5・6ポイント上昇した。都道府県・政令市発注工事ではICT土工の実施件数が前年度比7・4%増の3470件で、公告件数に占める割合は1ポイント上昇の24%だった。
 国交省は自治体発注工事での普及促進を一つの目的として、小型マシンガイダンス(MG)バックホウによるICT施工の実施要領やモバイル端末を活用した小規模現場向けの出来形管理の要領を22年度から適用。25年度からは小型MGバックホウの刃先で3D座標を取得できる機能を活用した出来形管理の要領の適用を始めた。
 都道府県・政令市に専門家を派遣する試みは、25年度以降も年5団体程度で支援を継続予定。これまでの支援対象のうち札幌市では、直轄工事の要領で想定されていない小規模な都市型土木現場に適した独自のICT活用方針を検討し25年度から本格運用する。
 生活道路整備に着目して、地場の中小建設会社には導入ハードルが高いICT建設機械の優先度を下げ、自動追尾型トータルステーション(TS)による測量作業の効率化に重点を置いた。
 ICT施工に精通する会社などが未経験の会社に技術的な助言・指導を行うアドバイザー制度は以前からの7地方整備局など(北海道、東北、関東、中部、中国、四国、九州)に加え、25年度から内閣府沖縄総合事務局と沖縄県でも展開する。