労研首脳が会見/26年の80周年へ委員会発足、情報共有し安全レベル向上

2025年7月11日 行政・団体 [2面]

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 建設労務安全研究会(労研)の細谷浩昭理事長、小澤重雄、稲直人両副理事長は9日に東京都内で会見し、本年度の活動方針を説明した。2026年の発足80年を迎えるに当たり、80周年記念誌の編さん委員会を立ち上げ、作業を進める。記念セレモニーも予定する。労務管理や労働衛生管理に関する諸問題の調査・対応策の研究も行う。外部講師を招いての講演会やセミナー、行政・関係団体との意見交換会なども計画的に実施し、各社の安全水準を上げていく。
 労研は1946年10月に前身である労務懇談会が発足してから今年で79周年を迎える。企業は40社で、団体は日本埋立浚渫協会、日本建設躯体工事業団体連合会、建設業労働災害防止協会、全国建設業協会、日本建設業連合会が参加している。細谷理事長は「現在、会員数は増えてきており、器が大きくなった。関係諸機関との連携を図り、建設業界の発展を目的に活動に取り組んで、建設業界の安全に関して一定の役割を果たしつつある」と述べた。
 現場の労働災害防止については「災害の原因でヒューマンエラーとよく耳にするが、ヒューマンエラーは結果であって原因ではない。本当の原因は情報共有不足やコミュニケーション不足だ」と指摘。「ちゃんと伝わったか、理解できているかを確認し合う『確認会話』を取り入れることで、確実に情報が共有される現場を作り上げることが、現場の安全対策で不可欠だ」と述べた。
 その上で「過去の苦い教訓から築き上げた安全レベルも放っておくと安全活動はマンネリ化してしまう。会員相互の情報の共有化、管理水準のレベルアップが図れるよう努める」と本年度の決意を新たにした。
 建設現場で外国人材の登用が進んでいることを受け、細谷理事長は「一番の問題は会話のレベルだ。日本語が理解できていない外国人材が増えてくると事故も増えるだろう。今後の対策を考えなければいけない」との考えを示した。
 稲副理事長は「建設業を盛り上げていきたい。親世代の持つ建設業の3K(きつい・汚い・危険)のイメージを払拭しないといけない。普段使う建物やインフラ、災害時の復旧・復興など世の中のためになる仕事をしていて決して恥ずかしいことではない」とし、建設業のイメージアップに注力する方針だ。
 小澤副理事長は「労働災害が起こる原因を深掘りして改善しないといけない。度数率や災害件数に目が行きがちだが、単なる結果であって災害の中身を把握して原因をつぶすことが災害防止につながる。改正労働安全衛生規則で企業に義務付けた熱中症対策を契機に、対策をさらに推進したい」と力を込めた。