関東整備局宇都宮国道/住民サービス向上へ道路情報を一元管理、建コン2社と連携

2025年7月14日 行政・団体 [5面]

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 関東地方整備局宇都宮国道事務所が、建設コンサルタント2社と連携して道路情報を一元管理するシステムの構築に乗り出した。同事務所が管理する直轄国道の画像や3Dモデルを活用。2社の保有技術を持ち寄り仕上げたシステムに、道路情報のデジタルデータを集約する。維持管理の効率化を狙う。デジタル化した台帳は従前よりも閲覧しやすくなり、住民向けサービスの向上も期待できる。
 同局は事務所などが抱える課題解決に向け、民間らが持つ技術を導入する「現場ニーズと技術シーズのマッチング」を行っている。一元管理システムの構築はこの取り組みの一環となる。
 ベースとなるデジタル情報はモービル・マッピング・システム(MMS)で取得した点群データや360度カメラの画像などを使う。マッチングに名乗りを上げたパスコとアジア航測の保有技術からシステム構築を目指す。
 パスコは、360度カメラや3D点群データをAPI連携させてワンクリックで必要な情報を表示する仕組みを提案した。路面の異常や損傷を24時間受け付ける道路緊急ダイヤルの通報や行政相談、苦情が寄せられた場所を特定しやすくする。
 アジア航測は地理情報システム(GIS)を活用したシステムを提案した。道路台帳の図面(道路台帳付図)をベースに360度カメラ映像や点群データとも連動させつつ、点検調査の成果も集約。現地へ行かず机上で道路の状況が把握できる。自治体への納品実績もある。
 宇都宮国道事務所は2社の提案技術を基に、国道4号など直轄国道の一部区間で一元管理システムの運用が可能かを検証する。システムが構築できれば業務効率が格段に高まるだけでなく、住民や道路占用業者が閲覧する道路台帳などの視認性向上も期待できる。
 同事務所ではこれまで、道路図面や台帳などは部署ごとに紙で管理していた。電子データと違い、情報の更新でタイムラグが発生しやすかった。陥没やクラックなどを発見した住民らが通報しても保管場所からすぐに情報が取り出せず、迅速に対応することが難しかった。
 他の事務所でも同様の事例が発生している。宇都宮国道事務所の取り組みがうまく進めば、他事務所でもシステムを構築する動きが波及しそうだ。