宮城県は、仙台市宮城野区の仙台医療センター跡地で計画する「県民会館・NPOプラザ複合施設新築工事」の起工式を30日に現地で開いた。青葉区にある「東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)」と宮城野区の「みやぎNPOプラザ」を移転集約。東北を代表する文化・芸術の拠点になる複合施設を建設する。設計・工事監理は石本建築事務所、鹿島・橋本店・阿部和工務店JVが新築工事を施工する。工期は2028年11月30日まで。
工事場所はJR仙石線・宮城野原駅に近接する宮城野2の301の1の一部(敷地面積5万2811平方メートル)。メインの複合施設棟(免震)はSRC一部RC、S造地下1階地上4階建て延べ3万1996平方メートルの規模で、各種演目に対応できる2150席を備えた大ホール、多様な表現芸術に活用できるスタジオシアター、小規模な講演に適したスタジオ、展示ギャラリーなどを備える。
屋外通路棟(S造平屋224平方メートル)や駐車場通路棟(S造2階建て延べ4700平方メートル造平屋146平方メートル)、屋外便所棟(RC造平屋39平方メートル)、昇降機、外構の各一式も施工する。新築工事は291億2000万円(税抜き、以下同)で契約した。
舞台設備工事(41億8300万円)は三精テクノロジーズが担当する。空調(46億0552万円)は高砂熱学工業、電気(42億0200万円)はユアテック・日本電設工業JV、衛生(29億7800万円)は中央管工業が15日に落札。9月の定例議会に諮り、10月上旬の契約を見込む。
起工式には事業主や工事関係者ら約50人が参加した。「地鎮の儀」では石本建築事務所の長尾昌高社長が鎌、村井嘉浩知事が鍬、鹿島の天野裕正社長が鍬を盛り土に入れ、工事の安全と無事完成を祈った。
神事後、村井知事は「あらゆる人々に開かれた文化と交流の拠点になる。屋外には芝生広場を設け、イベントやマルシェなど多くの人々が行き交い憩う広場になる。県民の期待に応えるため、安全第一で施工してほしい」と呼び掛けた。
長尾社長は「県民会館やNPOプラザ、ギャラリーなどの機能が一つの大きな屋根の下に集まるというコンセプトから新たな文化と芸術の拠点が誕生する。施工者とのコミュニケーションを密に、工事監理の役割を全力で全うする」と述べた。天野社長は「宮城の文化活動の中心施設として大きな期待が込められている。工事関係各社と一致団結し、総力を結集して施工する。近隣や通行者の安心・安全を最優先に掲げながら、工期内に高品質で堅牢な建物を完成させる」と意気込んだ。
高橋直裕事務総合所長(鹿島)の話
「各ホールの仕様ごとに音響性能に配慮しながら、4週8閉所(完全週休2日)のスケジュール通りに無事故・無災害で施工する」。
平野篤司所長現場代理人(同)の話
「約3年半の長丁場になる。安全第一で県民の皆さんや関係者の納得がいく良い建物にしたい」。