長谷工コーポ/奈良県五條市に製造工場、国産スギ使用の新木質建材

2025年7月31日 技術・商品 [8面]

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 長谷工コーポレーションは、奈良県五條市内に国産スギを使って安定品質を実現する新たな木質建材「HS(長谷工サステナブル)ウッド」の製造工場を建設する。HSウッドはスギ丸太から切削した木片(ストランド)の長さ方向を一方向にそろえて積層するエンジニアードウッド。節などの木材欠点の影響を受けない利点があり、主に関西、東海圏で長谷工が施工するマンションに採用していく。8月1日に着工し2027年2月の竣工、28年4月の本格製造開始を目指す。
 建設地は五條市西阿田町310ほか(面積4万1670平方メートル)。施設規模は工場棟がS造平屋8236平方メートルで、W造2階建ての管理棟を併設する。設計はキタムラ、Style-A、施工をキタムラが担当。長谷工が監修を手掛ける。
 HSウッドは造作大工が施工する内装の壁や天井の下地となる木製軸材(造作軸材)に使う。ストランドを原料とするため、製材や合板・単板積層材(LVL)用単板などへの利用が難しい小径木、曲がり材でも可能で、樹皮以外を無駄なく活用できる。
 これまで外国産木材を原料とするLVLを造作軸材に利用してきたが、自社製造体制を構築することで、建築木材のトレーサビリティー(追跡可能性)確保や輸送などを含むサプライチェーン(供給網)全体の二酸化炭素(CO2)排出量削減(年間推計約3000トン)を見込む。また、国産材を使用するため炭素貯蔵効果が得られるなど、環境に配慮した企業活動につなげていく考えだ。
 本格着工に先立ち30日、建設地で五條市の平岡清司市長ら来賓を含む関係者約30人が出席して地鎮祭が行われた。地鎮の儀ではStyle-Aの駒井陽次代表取締役が鎌入れ、長谷工コーポの三森国吉取締役兼副社長執行役員が鋤入れ、キタムラの北村宏人社長が鍬入れを行い、工事の無事竣工を祈念した。
 工事着手を迎え、長谷工コーポの上村貴正技術部技術第1チーム副主幹は「国が進める国産材の活用展開やカーボンニュートラル(CN)の実現に貢献できるように必ず成功させたい」と語った。