エスシー・マシーナリら/クレーン用デジタル合図無線開発、無線通話を円滑化

2025年8月5日 技術・商品 [3面]

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 清水建設グループで建設機械のレンタルなどを手掛けるエスシー・マシーナリ(横浜市瀬谷区、鎌倉孝光社長)らはプライベートLTE「sXGP」を活用し、タワークレーンオペレーターと玉掛け合図者の無線通話を円滑化するクレーン用デジタル合図無線「スマホ無線機(スカイクリア)」を開発した。清水建設が東京都心で施工する超高層オフィスビル現場で技術実証に成功。秋以降には東京駅日本橋口前で施工中の国内最高層ビル「Torch Tower(トーチタワー)」(施行者=三菱地所)の現場に採用する予定だ。
 スカイクリアは、パナソニックホールディングス(HD)やシャープと共同開発した。sXGPのネットワークを構築する無線基地局「xGsPod」を搭載したマスター基地局、sXGPの通信エリアを拡張するアンテナ、アンテナをLAN接続するPoEスイッチングハブなどの機器で構成する。
 都心の超高層オフィスビル現場で実施した技術実証では、低層階にマスター基地局とアンテナ、躯体上部にあるタワークレーンのガイドマストにアンテナを設置してLAN接続した。タワークレーンのオペレーターと地上と屋上にそれぞれいる玉掛け合図者の円滑な同時通話を実現している。
 今後はエスシー・マシーナリが窓口になり、スカイクリアをタワークレーンとセットで提供する。高さ300メートル超の超高層ビルをはじめ、大型現場と隣接していたりクレーンが密集していたりする現場などを想定している。
 現場に使用されるクレーン用合図無線機はアナログ特定小電力無線機(周波数帯400メガヘルツ帯)が一般的。ただ高さ200メートル級の超高層ビルの場合、電波が届かずクレーンの密集によって混信する不具合などが発生し、安全で確実な通話が妨げられていた。