近畿整備局、埋浚協近畿支部/高専生対象に見学会開く、和歌山下津港水門現場など

2025年8月6日 行事 [14面]

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 近畿地方整備局と日本埋立浚渫協会(埋浚協)近畿支部は4日、明石工業高等専門学校(兵庫県明石市)の学生を対象に現場見学会を和歌山県海南市などで開いた=写真。海洋土木を得意とする官民の若手技術者でつくる合同勉強会の一環。「技術者のたまご」である高専生と共に現場を見学することで港湾工事の魅力を伝えようと開催した。南海トラフ巨大地震による津波に備える水門の工事現場などを訪れ、港湾建設業の果たす役割などを学生らにPRした。
 参加したのは明石高専の1、2、4年生9人と、同校のOBやOGを含む近畿整備局とマリコンの若手技術者ら23人。バス移動中は学生と技術者が隣り合い、先輩としての将来のアドバイスなど談笑しながら交流を重ねた。
 午前に、五洋建設が施工する「和歌山下津港海岸(海南地区)鳥居水門・護岸等築造工事」の現場事務所に到着。近畿整備局港湾空港部の水口直仁工事安全品質室長は「津波対策の現場をよく見て、日頃学校で学んでいる内容がどのような形で生かされているかを体感してほしい」と学生らに呼び掛けた。
 概要説明を受けた後、現場に移動し水門本体工の施工状況などを確認した。同工事では背後の製造工場や市街地を浸水から守るため、湾奥にフラップゲートを整備。TP8・9メートルの津波水位まで対応する。工事進捗率は約63%で、2025年度末の完成を予定。
 続いて同現場に近接し、4月に稼働開始したローラーゲート式の日方水門(施工=五洋建設・あおみ建設・日立造船〈現カナデビア〉JV、22年完成)を見学。同水門では7月30日に発生したカムチャツカ半島沖地震による津波警報を受け、初めて自動閉鎖が行われた。一行は高さ約40メートルの水門を上り、海岸保全施設の壮大さを体感した。
 午後から和歌山港湾事務所(和歌山市)で、学生と技術者による意見交換を開催。港湾土木を志したきっかけなどの質疑応答があった。
 最後に堺泉北港汐見沖地区(大阪府泉大津市)の中古車輸出拠点を再編する「堺泉北港国際物流ターミナル整備事業」の岸壁工事現場を見学した。