芸術文化振興会/国立劇場再整備等PFI事業/25年度に実施方針の概略公表

2025年8月7日 工事・計画 [4面]

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 日本芸術文化振興会は、過去2回の入札が不落となった国立劇場(東京都千代田区)再整備の事業者選定に向け、PFI事業の実施方針の概略を2025年度に公表する予定だ。既設の国立劇場を延べ5・7万平方メートル規模の建物に建て替え、運営する事業。26年度には実施方針を公表し、特定事業の選定、事業者を募る入札を公告。27年度の事業契約を予定している。
 振興会は6日に「国立劇場再整備等事業に係るアドバイザリー業務(令和7年度業務)」の委託先候補をEY新日本有限責任監査法人に決めたと公表した。24年12月に示した整備計画の一部改定に基づく事業者選定の入札手続きの資料作成などを委託する。
 簡易公募型プロポーザル方式で選定し、5日に特定した。見積もり合わせを経て近く契約する見通し。プロポには他にパシフィックコンサルタンツ(次点)、PwCアドバイザリー、みずほリサーチ&テクノロジーズが参加した。公告時に示した業務の想定予算額は4200万円(税込み)。
 国立劇場の所在地は隼町4の1(敷地面積約3ヘクタール)。用途地域は商業地域。建ぺい率60%未満、容積率500%未満で計画する。新施設は大劇場(1450~1550席程度)・小劇場(550席程度)・演芸場(300席程度)、伝統芸能伝承のための研究施設など総延べ約5万6500平方メートルの規模を想定。劇場部分の面積は地下駐車場を除く約5万0500平方メートル。事業方式はサービス購入型のBOT(建設・運営・移管)方式とする。
 業務ではこれまでの入札に関する資料などを活用し、PFI法による入札手続きとなる要求水準書や実施方針の概略資料の作成といったアドバイザリー業務を任せる。履行期間は26年3月31日まで。
 国立劇場の再整備計画の一部改定では、現在地での建て替えや施設規模、PFI事業での整備を維持しつつ、民間提案の必須条件としていた収益施設へのホテル併設を「自由提案」に変更した。観劇を目的としない人も利用できるレストランやカフェ、ショップをグランドロビーに接して配置するなど魅力向上を図る。
 別途発注した「国立劇場再整備等事業に係る技術アドバイザリー業務(令和6・7年度業務)」は香山建築研究所が担当する。