名古屋鉄道/名古屋駅地区再開発計画、計画やスケジュール見直し

2025年12月16日 工事・計画 [9面]

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 名古屋鉄道は12日、名古屋駅地区再開発計画とそれに関連する計画のスケジュールや内容を全面的に見直すと発表した。2025年度に解体工事、27年度に新築工事に着手する予定だったが、入札参加予定者から人材確保難などを理由に11月26日付で入札辞退届が提出された。事業費も当初の想定を大幅に上回る見込みとなったことも要因。今後のスケジュールは未定としているが、名鉄は25年度中に何らかの方向性を示すとしている。
 名鉄の高崎裕樹社長が会見で明らかにした。5月に公表した計画では、商業施設やオフィス、ホテル、鉄道駅、バスターミナルが一体となった地下2階地上31階建て延べ約52万平方メートル、高さ約172メートルの複合施設を2期に分けて建設。名鉄名古屋駅も再整備する計画で1期は33年度、2期は40年代前半の完成を示していた。
 11月28日に名鉄バスセンターの営業終了と機能の仮移転先を発表。今月2日には名古屋新都心の未来を描く産官学民の連携プラットフォーム「NAGOYA都心会議」(会長・高崎裕樹名鉄社長)が発足したばかり。リニア中央新幹線の開業を見据え名駅周辺では駅前広場整備や道路整備、さまざまなまちづくり計画が進む。その中でもランドマークとなるプロジェクトが見直されることで、各方面への影響は計り知れない。広沢一郎名古屋市長は「昨今の経済情勢を踏まえれば、今回の判断はやむを得ない面がある。計画を速やかに見直し、今後の名古屋のまちづくりに一層寄与することを期待する」とコメントした。
 まちづくりに詳しい奥野信宏名古屋都市センター長の話
 「リニアの開業が30年代半ばにほぼ定まり、名古屋市などの名駅周辺再開発事業が順調に進展しているだけに、名鉄の事業の遅れは残念に思う。名鉄の名駅再開発は集客事業としてだけでなく、名古屋大都市圏の交通・鉄道ネットワークの要となる事業でもある。リニア開業を見据えた東京・品川駅地区の再開発の威容が姿を現してきている。名鉄の再開発を機に新たな事業展開を見定めている各分野の民間事業者への影響など、名古屋大都市圏の街づくりへの影響が最小限となるよう、早期の新たな事業計画の発表を期待している」。