東京・渋谷区が京王線笹塚駅~初台駅間にある「玉川上水旧水路緑道」(延長2.6km)を再整備している。整備から40年が経過し緑道全体で老朽化が課題になっていた。現状の植生を生かしながら安全を確保し、地域住民により親しまれる緑道を目指す。一部区間は再整備が完了あるいは工事中で、残る区間は9月と2026年4月以降に工事契約を結ぶ予定だ。
緑道は地域に根付いた自然豊かな空間。区は住民と対話しながら事業を進めている。3月には笹塚・大山緑道の一部区間が完成。住民から「歩きやすくなった」「夜が明るくなった」などの声が寄せられた。照明の明るさをベンチ下と0・8~1・0メートル、2・4メートルの3段階で調整。照明の光が均等に届くことで、夜間も安心して通行できるようになった。
今ある緑を生かした取り組みも進めている。可能な限り樹木を残すため健全度調査を実施。「サクラの木を残してほしい」という住民の要望にも応えた。着工後も専門家に根の方向を確認し配慮するなど細心の注意を払っている。
区は緑道の再整備を国や東京都が推進するグリーンインフラの取り組みに位置付けている。都市空間を有効活用して雨水対策施設の整備と緑化を推進。暑熱対策の効果も期待している。雨水ますや雨水管などを整備し、雨水の浸透機能を高める。さらに地域住民向け菜園を整備し緑と触れ合う機会も増やす。
長谷部健区長は「住民からの声を取り入れ進めてきた。最低限の整備を望む声と再整備計画に基づく整備を望む声がある」と現状を説明する。既存樹木に配慮しつつ、今後も安全安心の確保や子どもたちの遊び場の充実に向け、再整備を進める。